忙しない日々と２ ページ14
７月の図書室はクーラーがきいていた。
ただ本を読むには日差しが暑すぎる。
私と豆ちゃんはパタパタとうちわで扇ぎながら
誰も来ない図書室でつかの間のデートだ。
「最近豆ちゃん疲れてるでしょ。
夏はクエン酸だよ。
飴あげる。」
「ありがとう。」
豆ちゃんは梅のキャンディを受け取って
パクっと食べた。
最近豆ちゃんは疲れてるというか、
考え事をしてるような表情が増えた気がする。
「何かあった？
最近考えごとしてるね。」
私は直接聞いてみた。
豆ちゃんは耳をたれ下げるような表情をして
「ちょっと
手つないでいい？」
と聞いた。
「え？うん。」
私は少しドギマギした返事をした。
豆ちゃんがつないでいい？と
許可を求めるのは珍しかった。
私たちは誰かが来てもわからないように
カウンターの下で手を繋いだ。
豆ちゃんの手は大きくて、温かかった。
私は黙って豆ちゃんが話し出すのを待った。
豆ちゃんが口を開いた。
「週末に東京に行ってくる。」
ゆっくり落ち着いた口調だった。
「東京？」
東京、という言葉は心臓に悪い。
あまり良くないものを想起させる。
何しに行くの？と聞けば良かったのに、
私は豆ちゃんの手をぎゅっと握り直して
「お土産買ってきてね。」
と言った。
豆ちゃんは
「うん。」
とだけ短く返した。
豆ちゃんの表情は見れなかった。
「東京ばなながいいな。」
とリクエストすると
豆ちゃんは
「分かった。」
と笑った。
なぜだか私は
「頑張ってね。」
と豆ちゃんに言っていた。
旅行に行くなら頑張る、なんて
おかしな表現だけど、
きっと旅行じゃないということは
豆ちゃんの態度で分かった。
豆ちゃんは一度私の顔を見たが、
私はただ下を向いていた。
「うん。」
豆ちゃんの返事は
低くて力強かった。
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ののん(プロフ) - saorisaori630さん» 友だち申請、コメントありがとうございます！長い小説なのに時間割いて頂いてありがとうございます（TT)ファイナルもぜひ最後まで読んで下さいね！ (2020年2月27日 0時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
saorisaori630(プロフ) - はじめして！すごく素敵な小説でつい一気読みしちゃいました！笑ファイナルも是非読まさせて頂きたいです！友達申請しました(^^) (2020年2月26日 8時) (レス) id: 4b2dde0f96 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - ちぇりさん» コメントありがとうございます(^^)面白いと言っていただけると安心ですし、やる気が出ます！！ファイナル編もよろしくお願いいたします☆ (2020年2月24日 19時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
ちぇり(プロフ) - はじめまして！この作品を見つけて、おもしろすぎて一気に読んでしまいました！(^^)ファイナル編も楽しみにしてます！頑張ってください！！ (2020年2月21日 8時) (レス) id: 9cc5cf3336 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - コメント、友だち申請ありがとうございます！がんばります(^^) (2020年2月16日 21時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年1月19日 0時
