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数学が終わり、3年生が帰路につき始めた。



Aは先にカバンをとり、

正門前で拓実を待った。



最近は、毎日拓実と駅まで帰っている。



今日は珍しく拓実の方が遅かった。



携帯を見ながら拓実を待つ。

恐らく授業後に指導を受けているのだろう。



「A!」



正面玄関から軽快に走ってくる拓実の姿が見えた。



「ごめん、待たせた!」



「ううん。補習?」



「補習ちゃうし!」



Aがふふっと笑った。



「川西くん、数学めっちゃ苦手やん。」



「それはそやねんけど。

授業後に純喜くんに呼び止められて

追加の解説されてん。

俺、早くAと帰りたいのに。」



「担当、河野先生やったんや。」



「そう。佳奈美も祥生も一緒。」



「そっか。賑やかそうなクラスやなぁ。」



「まぁな。」



楽しそう。

本当に羨ましい。



純喜のいない数学の授業なんて苦痛だ。



あの元気だったり優しかったり

波のある心地いい声も

太陽のカラッとした香りもない。



ただ鉛を紙にこすりつける作業。



自分は純喜に避けられている。



純喜はAのことを

よく分かっていた。



純喜がいるから数学のクラスを下げるという

Aの浅ましい考えを見破っていた。



そう考えると、Aは

自分が恥ずかしくなった。



Aは単純な片思いで、

必死に純喜を追いかけて、

拓実の切実な思いは蔑ろにしてる。



きっとAよりも拓実のことを好きで、

大切にしてくれる人がいる。



なのに拓実はずっとAの隣に

いてくれる。



拓実の気持ちに応えるべきなのに、

執着するほど、

純喜が好きで好きでたまらない。



自分はどうしてこんな人間なんなんだろう。



ポトッと地面にしみをつくる。



雨かと思い、拓実は空を見上げた。

でも空はカラッと晴れ上がっている。



それはAの涙だった。

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設定タグ:JO1 , 河野純喜 , 川西拓実   
作品ジャンル:恋愛
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ののん(プロフ) - かなさん» コメントありがとうございます!私も更新するたび、hit数が上がると、読んでくださる方がいるんだなと実感できて、毎回更新するのが楽しみでした。次回のお話もぜひ読んでください! (2021年8月14日 22時) (レス) id: 81e0daef40 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - 萌萌さん» コメントありがとうございます!私自身三人称で書いて行くのが初めてだったので、試行錯誤の繰り返しでした。次回のお話もぜひ読んでいただけると嬉しいです! (2021年8月14日 22時) (レス) id: 81e0daef40 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - mbonchanさん» コメントありがとうございます!ルート説を読んでいる方に理解して頂くためには、同窓会まで繰り返さないと弱いかなと思い、同窓会のシーンまで書きました(^^)次回もぜひ読んでいただけるとうれしいです! (2021年8月14日 21時) (レス) id: 81e0daef40 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - nanaさん» コメントありがとうございます!書き方などを勉強中なので、褒めていただいて、すごく嬉しいです(;_;)私も一応読み直してかきましたが、矛盾がないか不安です笑次回のお話もぜひ読んで下さいねー! (2021年8月14日 21時) (レス) id: 81e0daef40 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - クミさん» コメントありがとうございます!楽しみと言ってくださる方がいたので、頑張って更新が出来ました(^^)次回も頻繁にアップ出来るように頑張ります! (2021年8月14日 21時) (レス) id: 81e0daef40 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ののん | 作成日時:2021年7月22日 1時

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