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萌香の言葉で気づいた。
拓実は大体の生徒を苗字で呼んでいた。
確かに萌香に対して『萌香』と呼んだことはない。
まして、ほとんど話したことなんてない。
潤がいつも隣で『萌香、萌香』と
呼んでいたために、
勝手に萌香に対して親近感を持っていた。
何か言い訳をしなきゃいけないと思った。
「俺、生徒の名前、全部覚えてるもん。」
答えのようで答えになっていない。
「すごいですね。
さすが川西先生、
先生のセンスもありますね。」
「それ、バカにしてへん？」
「してないですよ！」
ふふっと萌香が笑った。
ちらっと萌香の横顔が見えた。
その時、拓実は初めて萌香の笑顔を見た。
潤が毎日可愛い、可愛いと騒ぐのも
少しわかる気がした。
拓実はパッと
カーナビに視線を落とした。
「あ、家どこ？」
「そこ、右です」
中根町に入った。
右に曲がり、
緩やかに減速して、
家の前に車を停めた。
「お疲れ。」
「ありがとうございました。」
「明日も部活？
早く寝ーな。
あと、夏休みの宿題も早めにやりや。」
「はい…。」
「？」
萌香は車から降りようとせず、
目を泳がせていた。
「どしたん？」
「あの…川西先生。」
「何？」
「川西先生は彼女いますか？」
女の子に何度か聞かれたことのある質問だ。
この質問の意図は、
よく知っている。
拓実の胸がトクンとはねた。
「今は…おらん。」
咄嗟に答えてしまった。
先生的には
『プライベートなことは言えない。』
という返しがベストだったのかも知れない。
でも、萌香の瞳を見ていると、
その答えが許されない気がした。
「すみません、変なこと聞いてしまって。
ホンマにありがとうございました！」
萌香が急いで車を降りた。
口を押さえて表情を隠しているのが
余計にいじらしい。
慌ただしく階段を
駆け上がっていく萌香を見送った。
「あかんあかんあかん…。」
拓実はエアコンの温度を一気に下げた。
熱い体を冷ましたかった。
拓実の答えを聞いた時の
萌香の表情が頭から離れなかった。
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ののん(プロフ) - かなさん» コメントありがとうございます！私も更新するたび、hit数が上がると、読んでくださる方がいるんだなと実感できて、毎回更新するのが楽しみでした。次回のお話もぜひ読んでください！ (2021年8月14日 22時) (
レス) id: 81e0daef40 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - 萌萌さん» コメントありがとうございます！私自身三人称で書いて行くのが初めてだったので、試行錯誤の繰り返しでした。次回のお話もぜひ読んでいただけると嬉しいです！ (2021年8月14日 22時) (レス) id: 81e0daef40 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - mbonchanさん» コメントありがとうございます！ルート説を読んでいる方に理解して頂くためには、同窓会まで繰り返さないと弱いかなと思い、同窓会のシーンまで書きました(^^)次回もぜひ読んでいただけるとうれしいです！ (2021年8月14日 21時) (レス) id: 81e0daef40 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - nanaさん» コメントありがとうございます！書き方などを勉強中なので、褒めていただいて、すごく嬉しいです（；＿；）私も一応読み直してかきましたが、矛盾がないか不安です笑次回のお話もぜひ読んで下さいねー！ (2021年8月14日 21時) (レス) id: 81e0daef40 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - クミさん» コメントありがとうございます！楽しみと言ってくださる方がいたので、頑張って更新が出来ました(^^)次回も頻繁にアップ出来るように頑張ります！ (2021年8月14日 21時) (レス) id: 81e0daef40 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2021年7月22日 1時
