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食事を終え、大教室に戻る。
佳奈美と途中で分かれ、
Aはトイレの個室に入った。
両隣の個室がガチャッと開いて、
誰かが出てくる。
洗面台の蛇口をキュッとひねり、
水がバシャバシャとボウルをはじく音がする。
「聞いた？
拓実、大月さん花火に誘ったらしいで。」
知らない人の声だった。
でも話題はAだ。
本人がいると
咳払いでもして伝えたほうがいいのか。
Aはじいっと黙っていた。
「まじ？やっぱ付き合ってんねんや。」
「ちゃうらしいで。」
「うそやん？
だって一緒に帰ってへんかったっけ？
昨日も目合わせて手振ったりしてたし。」
意外と周りはよく見ている。
「そうやねんけど、
付き合ってはないんやって。」
「そうなんや。」
「だからさぁ、
これ、拓実、完全に花火のとき、
告白すると思わへん？」
「それな。
拓実、めっちゃ追いかけてたらしいもんな。」
「うん。
大月さんも絶対拓実の気持ち分かってるよな。
何でもわかってそうな感じやし。
どうする？
大月さんが振ったら。」
「それ、悪女過ぎやろ。」
女の子が手を叩いて爆笑している。
このまま出て行ってやろうかと思った。
でも、面倒くさいことになりそうだと
思い、とどまった。
女の子の声が遠のいていく。
外へ出たようだった。
Aも個室から出た。
蛇口をひねると、
思ったよりひねりすぎて
水が勢いよく飛び出した。
Aは告白をされたことがない
わけじゃない。
高校一年生のとき、
1つ上の先輩に声をかけられて、
LINEを交換した。
たびたび連絡がくるから、
自分に好意があるんじゃないかと思った。
一緒に帰りたいと言われたとき、
もしかしたら
告白されるかもしれないなと思った。
そしたら、
案の定、告白された。
自惚れじゃなかったと
ホッとした。
でも、
彼が自分のことを好きだという事実を
知っておきながら、
気づかないフリをしていた自分が
白々しくて、居心地が悪くなった。
今も状況が似ている。
きっと拓実は花火のときに、
告白してくれる。
拓実がAを花火に誘った時の瞳は
何かを決心しているような瞳だった。
期待しているって、
いい意味で捉えればいい。
でも
100%期待しているなんて言えない。
本当に厚かましい。
Aはギュッと蛇口を締めた。
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ののん(プロフ) - carryさん» お返事遅くなりすみません(T_T)お読みいただき、ありがとうございます。パスワードはjuntakuです(^^) (2021年9月12日 16時) (
レス) id: 81e0daef40 (このIDを非表示/違反報告)
carry(プロフ) - とても面白くて一気に読んじゃいました。続きのパスワードを教えていただくことはできますでしょうか？ (2021年9月7日 23時) (レス) id: def8c9f4b6 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - nanaさん» コメントありがとうございます！海のところは私も書きたかったところなので、褒めていただけて嬉しいです！これから辛い展開になりますけど、どうか最後までお付合いいただけると嬉しいです(T_T) (2021年6月18日 0時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
nana(プロフ) - 海の帰りの車の中のシーンめちゃくちゃドキドキしちゃいました(泣)純喜くんも川西くんも動き始めて、どきどきの展開です(泣)毎話面白いお話をありがとうございます、これからも楽しみにしています！ (2021年6月15日 15時) (レス) id: eaa2ab5b8c (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - クミさん» コメントありがとうございます(^^)更新待っていて下さる方がいるのは嬉しいです！頑張って最後まで書きますのでお付合い宜しくお願いします！！ (2021年6月13日 0時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2021年5月4日 18時
