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Aはその日は日直だった。
「16日までの課題見るから、
日直はノート集めて
保健室まで持って来てな。」
チャイムが鳴ると、
純喜はそう言って
そそくさと教室を出ていった。
Aは教卓に山のように置かれた
38人分のノートを抱え、保健室へ向かう。
園田高校の職員室は、
3年生の教室のすぐ下、
2階に位置している。
でも、教師数に対して面積が足りていない。
数名の教師だけ追いやられるように
保健室に机が置かれていた。
純喜はその一人だった。
階段を下りて、
1階の保健室へ着くと、
保健室の扉はピシャリと閉められていた。
両手はノートを支えて塞がっている。
ノートを膝に置いて片手を解放させるか、
でもバランスを崩して床にバラまきかねない。
Aが扉の前で突っ立っていると、
「おい、A！
大丈夫か？」
後ろから純喜が慌てて走ってきて、
保健室の扉をガラリと開けた。
「今日お前が日直やったんか。
男子に手伝ってもらったら良かったのに。
Aやったら、
拓実なんかが喜んで運ぶやろ。
あいつ何してんねん。」
Aは純喜が独り言を話しているのか
自分に話しかけているのか分からず、
入口に突っ立って純喜の様子を見ていた。
純喜が机に教科書や出席簿を置き、
ワイシャツの袖のボタンを外して
グイッと腕まくりをしながら、
Aの元へ戻ってきた。
「ほな、もらうわ。」
純喜がAから直接ノートを受け取ろうとした。
軽々とノートを持ち上げる純喜から
太陽を浴びたカラリとした香りがした。
袖から伸びた腕は
毎日サッカー部の練習に行くからか、
よく日に灼けていた。
純喜は、
他の先生に比べて物理的な距離が近い。
誰に対してもそうだ。
先生なら、学生に一定の距離を保とうとする。
特に異性の生徒なら尚更だ。
でも、純喜はそうじゃない。
小学生や幼稚園児のように物怖じなく、
親密さを表す距離まで土足で踏み込んでくる。
むしろ、
小学生の方が遠慮があるかも知れない。
きっとその馴れ馴れしさが、
人気の理由だ。
Aは近くにいるのに、
遠くから純喜を眺めている心地がした。
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ののん(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます！色々あれやこれや悩んで試行錯誤しながら書いておりますので、そう言っていただけると、本当に励みになります！りんさんのコメント読んで嬉しくてニヤけちゃいました笑 (2021年4月29日 1時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - こんにちは。瑠姫くんの12時〜シリーズからののんさんのお話のファンになったのですが、このお話ほんっっっとに好きです､､､。本物の小説を読んでるみたいにドキドキしてしまいます。いつも素敵な物語をありがとうございます(T^T) (2021年4月28日 1時) (レス) id: a55fc0b198 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - はっぱさん» コメントありがとうございます(^^)全部読んでくださったんですか？ありがとうございます(T_T)期待に添えるお話を書けるかどうか不安ですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです! (2021年3月31日 23時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
はっぱ - ののんさんのお話全て読ませていただきました！今回も推しの純喜くんが出るのでさらに楽しみです！ (2021年3月31日 13時) (レス) id: ede0d803b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2021年3月28日 23時
