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「今も気を遣って、
聞いてみただけです。」
「おい!なんやねん。
結局全然興味ないんかい。」
純喜が突っ込むと、
Aは、ハハと声を上げて笑った。
信号が青に変わった。
純喜がアクセルを踏んだ。
「ええやん。
いつもそうやって笑ってくれたらええのに。
俺、そうやってAが笑ってんの
初めて見た気がするわ。」
「そうですか?私も笑います。」
「んー、なんやろ。
いつもくすくす笑いが多いやん。
本気で笑ってへん感じ。
俺の授業で笑ってへんの、
Aぐらいやもん。」
「そんなことないですよ。
他にも笑ってない人、たくさんいます。」
「おい!
めっちゃ俺のことイジるやんけ。」
またAが声を上げて笑った。
純喜がAの笑った顔を見る。
授業中、他の生徒も毎日毎時間、
自分をイジってくるが、
Aが他の生徒と同じように、
気楽に自分と接してくれたことに
純喜は嬉しくなった。
拓実や他の人にもこんな表情をするんだろうか。
そう考えているうちに、
曲がる道を間違えた。
「あ、すみません。
今のところ左でした。」
Aが背筋を伸ばして
後ろを振り返った。
「あ、まじか。ごめん。バックするわ。」
「大丈夫です。
すぐそこなので、ここから歩きます。」
サイドブレーキを引いて
ハザードランプを灯らせた。
Aがカチャリとシートベルトを外す。
「ほんまに大丈夫か?」
「大丈夫です。
そこ左行って三軒ぐらい、
行ったところなんです。」
「そうか。ほな、また来週、補習な。」
「はい。ありがとうございました。」
Aはドアに手を掛けた。
「気ぃつけな。」
純喜の手がAの腕に軽く触れた。
温かい手。
触れられた部分がじんわりと熱を帯びる。
Aは引きかけたドアハンドルから
手を離した。
純喜の方へ振り向く。
「河野先生。」
「ん、何や?」
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ののん(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます!色々あれやこれや悩んで試行錯誤しながら書いておりますので、そう言っていただけると、本当に励みになります!りんさんのコメント読んで嬉しくてニヤけちゃいました笑 (2021年4月29日 1時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - こんにちは。瑠姫くんの12時〜シリーズからののんさんのお話のファンになったのですが、このお話ほんっっっとに好きです、、、。本物の小説を読んでるみたいにドキドキしてしまいます。いつも素敵な物語をありがとうございます(T^T) (2021年4月28日 1時) (レス) id: a55fc0b198 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - はっぱさん» コメントありがとうございます(^^)全部読んでくださったんですか?ありがとうございます(T_T)期待に添えるお話を書けるかどうか不安ですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです! (2021年3月31日 23時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
はっぱ - ののんさんのお話全て読ませていただきました!今回も推しの純喜くんが出るのでさらに楽しみです! (2021年3月31日 13時) (レス) id: ede0d803b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ののん | 作成日時:2021年3月28日 23時