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「純喜くん、
明日の数学さぁー」
ノックもせずに保健室に入ってきたのは、
拓実だった。
夏休み中は部活に出ている先生が多く、
保健の先生もいない。
拓実は夏休みに入ってからは
野球部らしい挨拶もすっかり忘れて
純喜のうちのように
保健室を出入りするようになっていた。
「なんや？明日は補習ないで。」
純喜が立ち上がり、
相談スペースから出てくる。
拓実が純喜の背後に
Aが座っているのに気がついた。
その途端に拓実には純喜が見えなくなる。
一直線に相談スペースへ進む。
「何でAがこんなところで勉強してるん？」
「あぁ、質問持ってきたから、
教えてたんや。
拓実も勉強していくか？」
「いい。すぐ帰る。」
拓実は純喜の顔も見ず、
まっすぐAのもとに駆け寄る。
「お前、用事あったんちゃうんけ？」
「いい、純喜くんに喋りに来ただけやから。
A、帰ろう。」
「あ、うん。帰ろう。」
Aは拓実が少し不機嫌そうに見えた。
でも、気づかなかった振りをして、
筆箱と参考書をかばんへ入れ、
肩に提げた。
「気ぃ付けて帰れよ。」
拓実は事務的に「うん。」と言っただけで、
振り向きもせず保健室を出ていってしまった。
「先生、さようなら。」
Aが拓実の後ろを追い、
純喜の脇を通り抜ける。
「さいならー。」
二人がそそくさと保健室を後にし、
純喜が相談スペースの椅子を机に入れた。
パイプ椅子の上に赤いものが
パッと目に入る。
花柄のハンカチがだった。
Aがかばんを置いていたパイプ椅子だった。
「A。」
ハンカチを取り上げ、
あとを追ったが、
既に二人の姿はなかった。
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ののん(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます！色々あれやこれや悩んで試行錯誤しながら書いておりますので、そう言っていただけると、本当に励みになります！りんさんのコメント読んで嬉しくてニヤけちゃいました笑 (2021年4月29日 1時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - こんにちは。瑠姫くんの12時〜シリーズからののんさんのお話のファンになったのですが、このお話ほんっっっとに好きです､､､。本物の小説を読んでるみたいにドキドキしてしまいます。いつも素敵な物語をありがとうございます(T^T) (2021年4月28日 1時) (レス) id: a55fc0b198 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - はっぱさん» コメントありがとうございます(^^)全部読んでくださったんですか？ありがとうございます(T_T)期待に添えるお話を書けるかどうか不安ですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです! (2021年3月31日 23時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
はっぱ - ののんさんのお話全て読ませていただきました！今回も推しの純喜くんが出るのでさらに楽しみです！ (2021年3月31日 13時) (レス) id: ede0d803b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2021年3月28日 23時
