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二人が通う園田高校は県内屈指の進学校だ。
桜が散り落ち、
若葉が芽吹き、
夏の日差しを浴びんと
大きく葉を広げるこの季節は、
既に大学受験モードが二人を迎えていた。
Aは5月の定期演奏会で
箏曲部を引退した。
Aにとって箏曲部の2年間は、
日常の中にとけ込んだ習慣の一部だった。
授業が終われば、
クラスメートの瑠奈と一緒に
作法室へ向かい、
授業と同じように練習に励む。
練習は週3回で
月に2回は外部講師の先生が
教えに来てくれる。
先生は全然厳しくなくて、
むしろ若くてお姉さんのような
存在だった。
それでも、
高校から始めたにしては
箏もそれなりに弾けるようになった。
たまに練習をサボり、
茶道部に水菓子を分けてもらって
作法室の縁側で頬張ることもあった。
『絶対にコンクールで金賞とろうね！』
などという、暑苦しい青春ストーリーもない。
頑張りすぎない。
箏曲部は、
Aらしさを発揮できる
Aにぴったりな部活だった。
一部の男子には
そんなAの肩肘張らない落ち着いた姿が
艶っぽく映った。
拓実もその一人だった。
拓実の一日は、
朝日が昇る前に始まる。
部室に掲げられた
『甲子園出場』という懸垂幕に
手を合わせ、
朝日が現れると共に、
グラウンドでランニングを始める。
朝練が終われば、
眠い目をこすりながら、
一時間目から六時間目まで授業を受け、
授業が終われば、
またグラウンドへ出て、
夕日が眠りにつくまで
ボールを追い続ける。
試合に勝てば、喜びの拳を空に振り上げ、
試合に負ければ、悔し涙を流す。
茶色い土でドロドロのユニフォーム。
こめかみから滴る汗。
絵に描いたような青春ストーリー。
そんな拓実には、
Aがずいぶん大人びて見えた。
それは、いつしか憧れとなった。
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ののん(プロフ) - りんさん» コメントありがとうございます！色々あれやこれや悩んで試行錯誤しながら書いておりますので、そう言っていただけると、本当に励みになります！りんさんのコメント読んで嬉しくてニヤけちゃいました笑 (2021年4月29日 1時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - こんにちは。瑠姫くんの12時〜シリーズからののんさんのお話のファンになったのですが、このお話ほんっっっとに好きです､､､。本物の小説を読んでるみたいにドキドキしてしまいます。いつも素敵な物語をありがとうございます(T^T) (2021年4月28日 1時) (レス) id: a55fc0b198 (このIDを非表示/違反報告)
ののん(プロフ) - はっぱさん» コメントありがとうございます(^^)全部読んでくださったんですか？ありがとうございます(T_T)期待に添えるお話を書けるかどうか不安ですが、最後までお付き合いいただけると嬉しいです! (2021年3月31日 23時) (レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
はっぱ - ののんさんのお話全て読ませていただきました！今回も推しの純喜くんが出るのでさらに楽しみです！ (2021年3月31日 13時) (レス) id: ede0d803b5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2021年3月28日 23時
