交友関係 ページ23
「あ、でもねー、その頃はAちゃんからも色々話聞いてたわよ。Aちゃん、奨くんがカッコ良すぎて、自分には雲の上の人だってずっと悩んでたもんね！」
「え？そうなんですか？」
織田先輩の暴露に、俺は少し表情が緩む。
彼女は慌てたように立ち上がって、織田先輩の手を握って悶絶した。
「織田先輩、それは言わない約束だったはずです…」
「そうだっけー？」
織田先輩はニヤニヤしながら、とぼける。
「大学祭のフィナーレイベントの後なんかAちゃんを慰めるのに大変だったのよね〜。やっぱり可愛いコが好きなんだとか何とか、私なんてって私の胸に泣きついてきたりなんかして」
「わあーー！」
彼女が急に叫びだした。
「え？何ですか？何ですか？」
俺が前のめりで聞こうとすると、彼女は顔を真っ赤にさせながら、必死に両手で俺の耳を塞ごうとする。
「き、聞かないでくださぃ。」
彼女の語尾が消えゆく。
こんな慌てふためく彼女の姿は見たことない。
初めて織田先輩グッジョブと思った。
彼女に見えないように
織田先輩に親指を立てる。
すると、
織田先輩もグッと親指を立てた。
「ところで、奨くん、デートにも誘ってないらしいじゃん？」
「え？」
また彼女が必死に俺の耳を押さえようとするので、彼女の両手を掴んで制止する。
「Aちゃんが、授業色々取ってるから、忙しいかと思って、声掛けるか躊躇してたところはあったんですけど…。」
「出た出た臆病ヘタレぇー。Aちゃん、誘ってほしいんだって。」
「本当ですか？」
チラッと彼女の方を見ると、
彼女は諦めて、机に頭を伏せている。
「忘れて下さぃ…。」
更に語尾がすぼむ。
「次の土曜日はどう？」
「何で織田先輩が決めるんすか。」
「だって、準備がいるじゃない。外見変えたいって思うなら私に任せなさい。毎日顔作るのに何時間かけてると思ってんの。」
織田先輩が彼女の背中をバシバシ叩く。
確かに合宿中に見た織田先輩のスッピンたるや、相当な衝撃ものだったけど…
「俺は大丈夫だけど、
Aちゃんは？」
彼女に聞くと、
「…大丈夫です。」
と口笛でも吹いたら飛んでいきそうなか細い声で返事をした。
「じゃあ、土曜日は午前中サークルだから、１５時に寮前集合で。
デートの内容は奨くんが決めて。
あ、安心して！私は行かないから！」
当たり前だ…と思いつつ、織田先輩の主導でデートの日が決まった。
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年5月13日 22時
