※※Your Side※※ ページ19
チャイムが鳴る２分前に沙羅もやって来た。
「A、こんなところにいたの？
あ、與那城先輩こんにちは。」
「こんにちは。」
「私、今日サッカーサークルの見学に行きたいんですけど、いいですか？」
沙羅が私の参考文献の山を避けながら
與那城先輩に聞いた。
「え、全然！大歓迎！サッカー興味あるの？」
「そうなんです。
高校でもサッカー部のマネージャーやってたんですよ。」
「本当に？いや、それならまじで来てほしいよ。」
與那城先輩は嬉しそうやった。
すると、先輩の視線が私の方に来た。
「Aちゃんは、どう？もしよかったら、」
「私はサッカーについて何も存じ上げませんので、大丈夫です。」
「・・・ですよね。」
與那城先輩はちょっと寂しそうな顔をした。
チャイムが鳴って先生が大講義室に入ってきた。
「では、５限終わったら行きますね！」
沙羅が小声で伝えて、席に座った。
５限が終わって寮に帰ろうと、講義棟を歩いていると、沙羅から電話が掛かってきた。
『A、今日サッカーサークルの見学行くやろ？』
「行かへんで。」
『はあ？なんでよー。Aが来なおもんないやん。』
「私がいても何も変わらんわ。」
『えー、そんなん嫌やー。Aが行かんのやったら私も行かへん。それにA、與那城先輩の事気になる言うてたやん。』
「多分沙羅の言うてる『気になる』とは意味がちゃうと思うけど。」
『とにかく！Aが一緒に来てくれな寂しいのー。』
私は沙羅の甘い声にめっぽう弱い。
「…分かった。でも今日だけやで。サッカーなんか全然わからんし。」
こうして渋々サッカーサークルの見学に行くことになった。
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年5月13日 22時
