※※Your Side※※ ページ15
２回目にヨナシロクンに会ったのは、
入学式前のオリエンテーションの時やった。
実際には毎月のようにライブハウスに通っていたから、與那城先輩には会っていた訳やけど、
その時は同一人物やっていうのは知らんかった。
その日。
私は沙羅と一緒に講義棟に向かっていた。
沙羅は高校を卒業した後、髪をすぐに染めた。
元々派手な服やアクセサリーを好んでたけど、
髪を明るくしてから、更にその傾向が顕著になった。
それに比べて私は、あんまりファッションに気を使うことはなかった。
シンプルで動きやすければ何でも良かった。
大学の敷地に入って１番に声を掛けてくれたんが、声が大きい先輩やった。(後に沙羅から『河野純喜さん』て言うんやでと聞いた。)
「君らサッカーサークルに興味ない？まあ、興味なくても全然いいんやけど、今度の日曜日に新入生歓迎会やるから来やん？」
「新入生歓迎会？」
「そう！サッカーサークル入る入らんに関わらず、みんなの友達作りのために開いてる会やねん。毎年１００人ぐらい来るで！」
「ええー！めっちゃ面白そう！A一緒に行こ！」
沙羅はそういう楽しい会に参加するのが好きやった。
私は無言でうなずいた。
「ありがとう！ほな、そこに名簿あるから書いてくれる？」
声の大きい先輩が円形広場の一角を指差した。
私は、久しぶりに『サッカーサークル』と言うワードを聞いて、ハッとした。
そういえば、予備校の受付の人は、サッカーサークルに入ってるって言ってたんやった。
いはるんやろか。
もしかしたら『ヨナシロクン』にも会えるんかも知れん。
サッカーサークルの方へ歩いて行くとすぐに分かった。
あ、この人が『ヨナシロクン』や。
「こちらに名前を書いてください。
歓迎会は今週の日曜日に学生会館でやる予定なんだけど、大丈夫そうかな？」
先に沙羅が名前を書いて、
私も黙って名前を書いた。
「構いません。
当日は、どうぞよろしくお願い致します。」
チラッと見上げると、
『ヨナシロクン』が私を見ていた。
ほんまにイケメンやった。
サッカーサークルって、何か私とは遠い世界にある組織やなあと思った。
私たちはそのまま講義棟の方へ行こうとした。
「あの！」
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年5月13日 22時
