いつもと違う彼女２ ページ33
ちょうど授業中が終わって、家に帰ろうと階段を下りていた時だった。
俺は１つ下の階で階段を下りていく彼女を見つけた。
月曜日以外に彼女を見かけるのは珍しくて、思わず上から声を掛けた。
「Aちゃん！」
「しつこいです！」
彼女が勢いよく振り返って、ものすごい剣幕で俺を睨んだ。
「えっ…。」
俺は彼女の気迫に動揺した。
俺は…しつこいのか？
彼女が俺の顔を見て、幾分か表情が緩んだ気がした。
「あ…人違いでした。何でもありません。」
「そっか。」
彼女は踊り場で立ち止まって、なんとなく気まずそうな表情をした。
俺も何だか叱られたような気分になって、言葉が出てこなかった。
「授業なので、行きます。お疲れ様です。」
彼女が急ぐように歩き出した。
その瞬間、トートバッグのひもが手すりに引っかかった。
彼女は後ろに引っ張られ、
ノートや文房具がトートバッグから真っ逆さまに地面に落ちた。
バサバサッ
ばらまかれる音が屋上まで響いた。
俺は「あーあー。」と言って
タンタンと階段を下りて、踊り場でしゃがみこんで、散らばったノートやプリントを拾うのを手伝った。
「ありがとうございます。」
と彼女もしゃがんで、本やプリントを拾い上げて、せっせとトートバッグに戻した。
目の前に彼女のスケジュール帳が開かれて落ちていた。
ちょうど7月のスケジュールのページだった。
俺がライブしようとしていた金曜日には赤いペンで丸がついていた。
スケジュール帳を拾って彼女に手渡した。
「ありがとうございます。」
彼女は受け取ったが
俺は彼女のスケジュール帳を離さなかった。
彼女は不思議な目で俺を見た。
俺は手を離した。
「来週のライブまた見に来てくれるの？」
彼女に聞くと、
彼女は受け取ったスケジュール帳のページをパラパラと開いて7月頭の金曜日の丸印を指差して、
「もちろんです。」
と言った。
「あ、ありがとう。」
「驚いた顔をしていますね。」
「いや…。」
あの時の夢がなんとなく頭の裏にこびり付いていた。
彼女はもう俺のライブに来てくれないと思っていた。
でも、そうじゃなかった。
彼女はいつだってライブに来てくれて、俺を応援してくれる。
『俺の歌声が好きです』と褒めてくれる。
大事そうにイヤホンで聞いてくれる。
あの時の夢は、ただの夢だっだ。
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ののん(プロフ) - コメントありがとうございます!!これからも更新頑張ります^^ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 大好きです！これからも更新楽しみにしてます(^^) (2020年4月20日 23時) (レス) id: f70137444b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年4月20日 21時
