大学祭５ ページ26
段々夕日が真横から差してきて
フィナーレイベントも終了時刻に近づいてきた。
最後の告白者が登場する。
女の子が特別ステージへの階段を勿体ぶるようにひとつひとつ上ってきた。
男の子たちがヒューと指笛を鳴らして一気に会場のボルテージが上がる。そこかしこから『可愛いー！』という声が上った。
ライトピンクのポインテッドトゥパンプスでトントントンとステージに上がってきたのは、那奈心ちゃんだった。
俺は動揺して、手に持っていたカンペをするっと地面に落とした。
すぐにカンペを取り上げて、慌てて読み始めた。
『では、まず名前と所属を教えてください。』
『中野那奈心と言います。
社会学部の１年生です。』
那奈心ちゃんは緊張しているのか声を震わせている。
でも俺もきっと負けないくらい手が震えてる。
『はい、では、
最後の告白者と言うことで、
誰に告白してくれるんですか？』
俺は会場のテンションが最高潮に達しているこの状況で、自分の名前が呼ばれないことを必死に祈った。
ただの自意識過剰であってほしい。
『はい！とっっっても言いにくいんですけど！』
那奈心ちゃんは
会場の様子を笑顔でうかがいながら、たっぷりためて、
『経済学部３年の與那城奨さんです！』
と叫んだ。
観客が雄叫びのような声をあげる。
『誰？』
『え？あの司会の人だよ！』
『すごーい！』
『與那城さんやべーな』
呼ばれてしまった。
司会者が呼ばれるという思わぬ状況に会場は盛り上がった。
読者モデルの先輩が俺のカンペを奪って、
背中を押して、那奈心ちゃんの隣へと誘導した。
『與那城くん。悪い男だねー。
こんな最後の告白を司会者が持ってっちゃうなんて。出来レースか？』
読者モデルの先輩がノリノリで観客を煽ってより会場がヒートアップした。
『じゃあ中野さん、告白をお願いします！』
読者モデルの先輩の掛け声に合わせて、那奈心ちゃんが俺の方を向いた。
那奈心ちゃんの手の震えは演技じゃないだろう。きっと勇気を振り絞っている。
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ののん(プロフ) - コメントありがとうございます!!これからも更新頑張ります^^ (2020年4月21日 23時) (
レス) id: b70c73754c (このIDを非表示/違反報告)
りさ(プロフ) - 大好きです！これからも更新楽しみにしてます(^^) (2020年4月20日 23時) (レス) id: f70137444b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ののん
| 作成日時：2020年4月20日 21時
