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ぽつり、と呟いたコヤマさんの言葉を私も繰り返す。
「ランダム、ですか?」
「うん。みんなは『ホワイトメイズ』、エントリーした?」
そう問いかければ、3人は何のことかと眉をひそめる。
「さっきまで俺たち、エクストラステージに参加してたんだ…というよりは巻き込まれてた感じで…」
そうコヤマさんが話すと、3人はえぇ、と驚きの声をあげる。
「じゃあ、俺たちは参加の権利もなかったってこと?」
やや不満げに話すのはテゴシさんで、漠然と彼らしい反応だ、と感じる。
「や、でも巻き込まれたってことは、コヤマたちも希望したわけではないんだよね?」
確認するように尋ねるマスダさんはコヤマさんと私の目を順に見る。
「はい…強制的にエントリーさせられる形式だったのかもしれないです」
「へぇ…なんだか、今までの大会とはやり方も違うみたいだな」
私の答えを受けてカトウさんがそう口にする。
「このやり方で公平性が保たれるのか、って感じはするけどね」
コヤマさんがそう言うと、他の3人もたしかに、と頷く。
どうやら、このWORLDISTA CUPというものは、彼らがバーチャルプレイヤーとしてこれまでに経験してきた大会、というものとは異なる趣向が凝らされているようだ。
4人の会話にただただ頷いていると、おもむろにテゴシさんが口を開いた。
「ていうか、朝からバタバタしてて、朝ごはん食べ損ねちゃった」
「そうだ、すっかり忘れてた」
カトウさんも同調するように口を開けば、コヤマさんも負けじと口をとがらせる。
「そんなこと言ったら、俺たちも体動かしてお腹減ってるんだから!ね、Aちゃん?」
名前を呼ばれて、反射的に頷くと彼は少し笑った。
「Aちゃん、何食べたい?」
マスダさんが自然な流れで私に聞くから、流れのままに「サンドイッチ、とか…?」と答えれば、彼はいいねと笑う。
「外で食べたら気持ちがいいだろうなって…あ、外といっても仮想空間の中ではあるのか…」
私がぽつぽつと言葉を並べれば、コヤマさんが顔を覗き込むようにして期待のまなざしを向ける。
「そのピクニック、一緒に行っていい?」
空腹をアピールするようにお腹をさすって笑う彼と目が合うと、周囲の景色が一変する。
小さな庭のような場所にかわいらしい木製のテーブルが現れる。
ピクニックバスケットの中にはサンドイッチ詰め込まれているようで、覗き込んだテゴシさんがこちらを見る。
「Aちゃんが連れてきてくれたんだね」
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Nono(プロフ) - soboroさん» soboroさん、コメントのお返事がとっても遅くなってしまい、ごめんなさい…!楽しみに待っていただき、そしてこのページに遊びに来てくださりありがとうございます!! (2023年3月27日 21時) (レス) id: b787eddcb9 (このIDを非表示/違反報告)
soboro - 更新ありがとうございます!密かに楽しみに待ってたのでとっても嬉しいです! (2022年11月15日 0時) (レス) @page26 id: fea91e615b (このIDを非表示/違反報告)
Nono(プロフ) - momoさん» momoさん、コメントありがとうございます…!確か、以前にもコメントをいただいたかと思うのですが、長い間待っていただいて本当にありがとうございます!改めて楽しんでいただけるように頑張ります!よろしくお願いいたします!! (2022年9月19日 19時) (レス) id: 2d0e74762d (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - ずっとお話の更新待ってました、!めっちゃ嬉しいです! 無理のない程度に頑張ってください!本当に更新ありがとううございます!! このシリーズのお話ホントに大好きです! (2022年9月18日 23時) (レス) @page18 id: 6dd93aac59 (このIDを非表示/違反報告)
Nono(プロフ) - 紗奈さん» 紗奈さん、こんにちは!コメントありがとうございます!過去作品も楽しんでいただけてとても嬉しいです…!!今作も楽しんでいただけるように、頑張りますね…!!ぜひまた遊びにきてくださいね! (2020年12月13日 18時) (レス) id: 250d3608a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nono | 作成日時:2020年10月29日 23時