18 ページ18
ブザーの音が響けば、辺りは暗闇に包まれ、足元が途端に不安定になった。
その不安定さは卵型の乗り物のせいのようで、目の前には方向転換ができるだけのレバーがあるだけだ。
「おっと、あぶね」
暗闇にまだ目が慣れずにいたが、その声がすぐ隣から聞こえてきたことははっきりと分かった。
「マスダさん？あれ、これは…？」
「…！あぁ、そういうこと？」
確かに、一人で乗るには大きく感じる乗り物ではあったが、どうやら複数人で1つの乗り物を操縦するようだ。
「ライバルだけど、協力しなきゃいけないってことね？知ってる人でよかった」
そう言ったマスダさんが少しほほ笑んだような気がした。
私もスペースレースの時よりもどこか心強さを感じていたが、そんなことを考えているのも束の間、隣でピュンピュンと電子音が響いており、マスダさんは何かを狙うようにシューティングガンを構えていた。
私も慌てて、腰に装着していたガンを手に取り、スコープを覗き込む。
その瞬間、私は思わず声を漏らした。
スコープ越しの世界は、蛍光色の的らしきものがあちらこちらに浮遊しており、それを撃ち抜けば、ガラスのように弾ける。
『20バワリ―獲得です！』
試しに大きな円状のターゲットを撃ち抜けば、バワリ―獲得のアナウンスが聞こえてくる。
シューティングなんかやったことないし…エクストラステージは難しそう…と怖気づいていたのも嘘みたいに、私はデジタルシューティングにのめり込んでいた。
「Aちゃん、ちょっと揺れるよ」
そう声がかけられると、車体は急旋回して、さらには下降をはじめる。
私は車体の縁を掴んで態勢を維持することで精いっぱいだったが、突如視界が明るくなり、はっと顔を上げる。
頭上には虹色のリングが連なっていて、マスダさんの操縦のおかげで私たちの車体は見事にその真ん中を潜り抜けていく。
『リングゲートを通過しました！ボーナスとして各プレーヤー2500バワリー獲得です！』
思わぬボーナスに私がマスダさんの方を見ると、彼も私の顔を見て「やったね」と笑った。
そして、おもむろにゲートを抜けた先を指させば、私に的を撃つように促した。
促されるままにスコープを覗き込めば、小さな的が1つ浮かんでいるのが見える。
ふっと息を吐いて、トリガーを引くと視線の先で的がパリンと割れるのが確認できた。
「おぉっ、上手いね」
そう言ったマスダさんは一瞬の間に、私のよりもはるかに小さな的を数個射抜いていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 47人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Nono(プロフ) - soboroさん» soboroさん、コメントのお返事がとっても遅くなってしまい、ごめんなさい…！楽しみに待っていただき、そしてこのページに遊びに来てくださりありがとうございます！！ (2023年3月27日 21時) (
レス) id: b787eddcb9 (このIDを非表示/違反報告)
soboro - 更新ありがとうございます！密かに楽しみに待ってたのでとっても嬉しいです！ (2022年11月15日 0時) (レス) @page26 id: fea91e615b (このIDを非表示/違反報告)
Nono(プロフ) - momoさん» momoさん、コメントありがとうございます…！確か、以前にもコメントをいただいたかと思うのですが、長い間待っていただいて本当にありがとうございます！改めて楽しんでいただけるように頑張ります！よろしくお願いいたします！！ (2022年9月19日 19時) (レス) id: 2d0e74762d (このIDを非表示/違反報告)
momo(プロフ) - ずっとお話の更新待ってました、！めっちゃ嬉しいです！ 無理のない程度に頑張ってください！本当に更新ありがとううございます！！ このシリーズのお話ホントに大好きです！ (2022年9月18日 23時) (レス) @page18 id: 6dd93aac59 (このIDを非表示/違反報告)
Nono(プロフ) - 紗奈さん» 紗奈さん、こんにちは！コメントありがとうございます！過去作品も楽しんでいただけてとても嬉しいです…！！今作も楽しんでいただけるように、頑張りますね…！！ぜひまた遊びにきてくださいね！ (2020年12月13日 18時) (レス) id: 250d3608a6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Nono | 作成日時：2020年10月29日 23時
