【あんスタ】サバサバ女子 (ページ21)

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21話ページ21

「Aさんっ！！！」

『あっ、びっくりした、渉さんか。
やっほ～♪』

「…毎回思うのですが、本当に驚いているのでしょうか…？」

廊下を歩いていると、突然窓から変な仮面を着けて鳩を飛ばしてくる『日々樹渉』さんが声を掛けてきた。

飛んできた綺麗な真っ白な鳩は、私の右肩に止まり身を寄せてきた。

この子は1度珍しく渉さんのところから逃げ出し、
怪我したところを処置した時から懐かれている。

その時以降は逃げ出していないらしい。

あの時の渉さんの慌てようは珍しかった。

『この子本当に私に懐いてますね…？』

「あなたは恩人の様な存在なのでしょうね…☆
その様な安心しきった姿は、私かAさんの前だけですよ♪」

『へぇ～…？
ふふっ、可愛いなぁ♪』

暫くその子にだけ構っていると、突如目の前から消えた。

「すみません、あの子にばかり構っていらしたので…」

あの子を回収しただろうと思われる渉さんに視線を移すと、少し寂しそうな声で謝ってきた。

誰かは、彼は道化師のように感情を表に出さないと言った。

誰かは、彼を天才だから自分たちとは分かり合えないと言った。

誰かは…。

彼は他の人間とは違う別物だと言った。

私は違うと思う。

彼は時に誰よりも人間らしい姿を見せる。

本人が気づかない内に。

分かり合えない訳じゃない。

彼を知ろうとしていないだけ。

『ごめんね、渉さん。
そんな顔させて』

渉さんが着けていた仮面を両手で外す。

彼の表情は眉尻を下げて、寂しさを滲ませていた。

『随分出会った頃とは違って、感情を私に見せるようになりましたね…♪

う～ん…というか、私がそうしてしまったのでしょうか？』

「…私もあの子と同じですよ、あなたの前でしかこの様な姿は見せません」

『それに、あの時の【約束】もありますしね』

零だけじゃない。

私は彼ら…【五奇人】たちの支えにもなりたい。

本来ならば、あの時に出会うこともなかったかもしれない彼らと出会い、
仲の良い友人となった。

…学院でどのように彼らが言われていたのは、共に行動していたらすぐにわかった。

だから約束した。

「【私には、私だけでもいいから。隠さないで、我慢しないで頼ってよ】。

忘れていませんよ…忘れられないですから。

あのようなことを私たちに言うのは、Aさんくらいですよ☆」

私は彼らの支えとなれているのだろうか。

握っていた手をグッとより強く握りしめた。