記憶を失った鬼姫＊3rd＊

story.96 ページ10

エンマside





地上へと戻り、抱えていたAを優しく下ろした



すると彼女は俯いたまま、




A「ありがとう、エンマ君。」




とお礼を言う


どうもぎこちないというか動きが硬い





やはり、彼女の気に障るようなことをしてしまったのか。




俺はそれを確かめるため、Aに話しかけようとすれば…






ナツメ「Aっっ！！」




声のした方を見れば、天野ナツメが心配顔でAの元へ向かってくる




A「ナツメっ！」




Aは顔を上げて、また彼女もナツメの元へ走り出す




ナツメ「A〜！良かったぁぁぁぁぁっ！」




ナツメはAを抱きしめて涙を流す



感動の再開に嬉しく思ったと同時に、複雑な思いが俺の中でうごめいた




ナツメに少し遅れて、他の妖怪探偵団のメンバーも彼女たちの元へ駆け寄る







アキ「Aさぁぁんっ！俺、心配で心配でどうにかなりそうでした！危険な目に合わせてしまい申し訳ありません！」




トウマ「無事でよかった。」




ケースケ「もう…あまり一人で無理しないでよ。」



Aは皆に囲まれて、一人一人に優しく言葉を返す




そんな中、俺はタイミングを見計らって口を開いた






エンマ「妖怪探偵団だな。妖怪の不祥事案件を解決していると話は耳に入っている。

いつも助けられている、ありがとな。あまり遅くならないうちに家へ帰った方がいい…。そろそろ危険な妖怪がうろつき始める頃だからな。」




そう言えば、彼らは俺に頭を下げてお礼を言う




皆「ありがとうございました！」






予想もしていなかった言葉が返ってきたので、驚いて俺は目を見開く




特に感謝されるようなことはしてないと思うが…。





すると、それに答えるかのように彼らは次々に話し始める




ナツメ「カイラ様に聞いたんです！今回の案件は妖怪ではなく、この世に未練を抱えた怨念の魂が犯人だということを…。

私達人間には危険すぎるからってエンマ様達が被害を最小限に抑えようと動いてくれたんですよね」




アキ「きっと俺たちだけではこの事件は解決できなかったと思います！」



トウマ「いつだってエンマ様は僕たちを見えないところで見守ってくれているとカイラ様が言っていました。」




ケースケ「感謝するべきなのは俺たちの方だって思いました。本当にありがとうございました！」








言い終わると、また皆そろって俺に頭を下げた

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