すべてを見透かす ut ページ23
クラスメイトの彼は普通に明るい。
成績も上の方だし、インドアのくせに
私みたいに身体が弱いわけでもない。
けれど、私はなんとなく察していた。
『よっす』
「やっほ」
この世に過剰な期待を一切していない、すべての限度を把握した落ち着きを持つ、そんな目をしているから。
『鬱は今日も変わんないね』
「人間そんなコロコロ変わらんやろ。多重人格でもあるまいし」
『それもそうだねぇ。変わらないからこそ人間的な個性があるわけだし、そこは変わることのない根幹の部分だからね。』
「君はほんまに考え方が客観的というか、達観してるというか…知識も偏ってる気がするし」
『そうかな？それを言うなら、鬱の語彙力とか雑学とか、高校生離れしてると思うんだけど。』
「妥当やろ。これくらい知らんと高校生ちゃうで」
『常識までズレてたか…』
「まあでも、同級生にはそんなんが多いけどな。」
『あぁ分かる。よくそれで生きてこれたねって子、なんとなく多いよね』
「そんな感じ。それでも隔て無く接してるAもなかなかや思うけど。」
『鬱だけには、言われたくないかなぁ』
「社交性はある程度あるほうが生きやすいやろ？」
『そうね』
…やっぱり。
「似てる、よな」
『え？』
「僕ら似てる気がする」
『そう…かな。私はあなたみたいに高尚な人間じゃないよ。』
「僕かて高尚な人間ちゃうよ」
『嘘。私はそういう意味で頭の良い人に惹かれやすいもの。』
「…初めて知ったわ」
じゃあAは僕の次に高尚な愚か者かな、なんて呟く彼は、本当に変わらないのだろう。
変わらず私を魅了し続ける。
『私は愚か者か、まあそうだろうね』
「うん間違いない。僕は自分より多少愚かな子のほうがタイプや。」
『それ、は………』
思わず大きめの声で笑ってしまった。
『初めて知った。』
「ね、僕だって充分愚かやろ？」
『そうかもね』
「嫌になった？」
『頭いいくせに馬鹿じゃないの？』
「僕が馬鹿でもAが馬鹿にならんかったら戻れる気がするわ」
『私任せじゃんそれ』
「遠回しに行ったのに」
『下手くそ』
「君には言われたくないわぁ。もうちょい捻った告り方なかったんかいな。」
『嫌になった？』
「僕ら等しく馬鹿やん」
『そうかもね』
よく変わってるって言われる。
明るいとか元気とか、そんな感じのことを。
けど、鬱といれば、繕わなくていい。
最低な私だって、こいつとは同族の証。
最低に高尚な恋人ができたんだ。
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のの(プロフ) - うみさん» ありがとうございます！とても励みになります！少しリアルが忙しい時期に入っていて更新ペースが安定しないのですが、ゆっくりと待ってやっていただければと思います…！ (2018年9月17日 3時) (
レス) id: c28b761704 (このIDを非表示/違反報告)
うみ - んああもうきゅんきゅんです、、、しんどい好きですっっ！！ふたつの長編のほうもこれから読ませてもらいますねっっすごく楽しみです！！毒素脅威推しなのでその3人の特に好きです！！これからも更新頑張ってくださいっっ…！！ (2018年9月2日 23時) (レス) id: 3d5242b8e0 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 檸檬さん» そう言っていただけてとても嬉しいです！長々と更新していくことになると思いますが、また面白いと思っていただけるものを書いていきたいです！コメントありがとうございます！ (2018年8月23日 7時) (レス) id: c28b761704 (このIDを非表示/違反報告)
檸檬(プロフ) - 一緒に帰っていい？のお話めちゃくちゃきゅんとしました…！またお時間ありましたら続きを是非見たいです！更新頑張って下さい！応援しています！ (2018年8月23日 7時) (レス) id: 41b43bbcdf (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - うめるさん» そちらのほうが的を射ているかもしれませんねwその読み間違え私は面白くて好きですよwコメントありがとうございます！ (2018年8月22日 23時) (レス) id: c28b761704 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のの | 作成日時：2017年1月29日 17時
