君の隣で yuzuru H*

21* ページ22

*Lady*




｢ 羽生くん、っ


　皆、見てるから...! ｣




抱きしめる様な態勢のまま、



彼はその手を解こうとはしない。



リンクに居るのは二人だけ、



みんなの視線があまりにも痛い。



恥ずかしさから逃れたくて



周りの視線から逃れたくて


その腕を拒めば、



私に回された腕により一層力が込められるだけだった。




｢ ねぇ、お願い...


　恥ずかしい、から。 ｣




私の口から出たのは、



力の無い声だけだった。




｢ ねぇ、どうして恥ずかしいと思うの?



　それは、相手が僕だからそう思うの? ｣




甘すぎるその声は私の頭を揺さぶる。



私を試す様なその話し方に、



気が狂ってしまいそうなほど。



目が合わせられない。



きっと、顔は真っ赤で



だったら尚更顔なんて見せられない。



必死の抵抗と真っ赤な顔が肯定となり、



満足そうに声を漏らして笑った羽生くんは、



私の腰に回る腕をそっと解いた。



彼のその行動で、私の涙はひっこんでしまった。


少し、もの足りない様な



少し、寂しい様な



そんな感情が胸を締めつけた。



わかってる。



この感情は、恋とは呼ばない。



抱き寄せられてドキドキしただけ。



こんなの恋じゃない。



そんな事、私が一番わかってる。



でも、ほら。



胸は締めつけられるばかり



胸の鼓動は早まるばかり

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