君の隣で yuzuru H*

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｢ なぁ、真央。


　今回、何の曲選んだ? ｣




ｺﾃﾝと首を傾げた大輔くん。




｢ えっとね、真央は.... ｣




急に話すのをやめた真央ちゃん。



会話は中止され、真央ちゃんは見張る様にリンクを見つめる。



その視線の先。



真央ちゃんの視線を捕らえたのは



Aちゃんの背中だった。



深く深く呼吸をしながらリンクの真ん中まで行くと



ゆっくりと動き出した彼女。



流れるような動き。



だけど、どこか弱々しさを感じさせた。



特別強化選手と、そのコーチを含めて約40人。



全員彼女に惹きつけられたように



目を逸らすことが出来ない。




｢ これ、何の曲踊ってるんだろう ｣




｢ 真央も良く知らないんだけど、


　人魚姫の曲だって言ってたよ。 ｣




顔を向けずに真央ちゃんは呟いた。



彼女の演技に息を飲んだ。



人魚姫。



詳しくは知らないけれど、



王子様に恋をした人魚姫が、



声と引き換えに人間の足を手に居れる。



結局王子に思いを告げる事は出来ず、



海の泡となって消えてしまうという切ない物語。









彼女の演技に見惚れて、



静まり返ったリンクに響くのは



リンクの氷が削れる音と、



彼女の小さな小さな泣き声

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