7話 ページ8
「は?待って、LINEってなに?俺聞いてないんだけど」
マサさんとほのぼのしながら話していると、なんだか背後から真っ暗なオーラが迫ってきた気がして、ギクリと肩を震わせた。
恐る恐る振り返ると、そこには不機嫌そうに目を細めてこちらを睨んでいる祐希の姿。心なしか手に握られたボールがミシミシと音を立てている気がする。
わたしがファンの男の人とかに囲まれたりするとこの姿が降臨するけど、普段そんな怒ったりしない分相変わらず・・・こ、怖い。
「だ、だって祐希に話してないし・・・」
「いつ?誰伝いで交換したの?タカ?」
「え、うん、二ヶ月くらい前に、タカくん伝いで・・・」
「あ〜い〜つ〜!!!」
「祐希、あんまタカのこといじめないで。交換したいって言い始めたの俺だから、ごめんごめん(笑)」
「え、マサさんから!?なんで!?」
祐希がひどくショックを受けたようにボールを落としてマサさんを見つめた。
マサさんは苦笑いしながら祐希の頭を撫でている。祐希の方が背が高いはずなのに、こういう姿を見るとやっぱりマサさんの方が歳上なんだなぁっていうことがよく分かるなぁ。
撫でられている祐希も、怒っているオーラが消えてだんだんしょんぼりした様子に変わってきた。
「いやあんまりにも祐希が会わせてくれないから、逆に気になっちゃって。タカもお世話になってるみたいだから」
「マサさん、俺に黙ってひどい・・・」
しゅんとした祐希は、まるでマサさんに飼われている大型犬みたい。
でもLINEしたぐらいで何をそんなに凹んでるんだろう?あ、もしかして・・・
「祐希、勝手にごめんね・・・でも大丈夫だよ!祐希の大事なセンパイのマサさん取ったりしないから!ほら、マサさんと祐希がどれだけ仲が良いかタカくんからも聞いてるし!」
「・・・・・・は?」
「ほら、練習再開するみたいよ!わたし上の席で見学させてもらうね!祐希もマサさんも頑張ってくださいっ」
タカくんから「祐希さん、ほんとお兄ちゃんと仲良いんですよ」って聞いてたから、大好きな先輩を取られて悔しかったのかなと考えて我ながら納得。
わたしが思ってた以上に祐希が先輩たちと馴染んでるみたいで良かった。
それが分かっただけでも見学しに来た価値があると、思わず嬉しくなって見学席へ足を進めた。
「祐希・・・Aちゃんってもしかして鈍感?」
「はぁぁ・・・」
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作者名:のの子 | 作成日時:2015年12月14日 13時