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太陽に照らされない ページ12





上鉄穴という男がAに刀を渡しにきてから二日後、Aの元にあの鎹鴉が飛んできた。鴉はカァカァと鳴きながら「伝令!伝令!」と喋り出した。あれ、鴉って喋るものだっけ



「A!A!北北東ニアル村ヘ迎エ!村二潜厶鬼ヲ滅スベシ!」



初任務ゥと言いながら鴉は飛び回る。任務の伝達はAが想像していたよりも早く来た。ボーッと只眺めるだけのAに鴉は「急ゲ!急ゲ!」と羽をバサバサさせ、催促した。仕方なくAは準備を始める。

隊服を身にまとったAの肩に次郎丸は羽織をかけた。刀を腰に差し、懐に次郎丸の作った握り飯を入れたAを見て次郎丸は悲しげに笑った。大きな手が少女の小さな頭を撫でる。Aはその温もりがとても心地よく感じた。



「帰れる時は、ここに帰ってくるんだぞ。俺はいつでもお前を待っている。」

「はい、」

「あと、これを持っていきなさい」



次郎丸はそう言うと、小さな髪飾りをAに渡した。蓮の花の形をした髪留めだった。「また髪が伸びたらそれを付けるといい。これは俺の妻の形見だ」、とAの短くなってしまった後ろ髪に触れながら次郎丸は優しげに笑った。その表情にAはただコクリと頷いた。



「では行きます。」

「あぁ、息災でな」



任務を言い渡された方向へとAはゆらゆらと歩き出す。次郎丸は少女の後ろ姿をじっと見つめ続けたが、Aは振り返ることは無く、只前だけを進んで行った。振り返る必要は無いのだ。手も振る必要は無い。生きてさえいれば、なんだっていいのだ。



鬼狩りとして生きる以上は、半端な気持ちではいられない。いつ死ぬか分からない身となるのだから、未練たらしいものを持ってては駄目なのだ。Aは多くの鬼を滅しなければならない。誰の為でもない、あの人の為に。あの人の大切を奪ってしまった鬼は、全て消さなければならないのだ。少女はその考えだけをもって生きていこうとした。



けれど少女には想像出来なかった。そんな自身の考えを変えるような、深い絆で結ばれた兄弟に出会うことを。愛が何かを探す少女に、それを教えてくれる仲間ができることを












誰のために殺すのだ





何かの犠牲に幸せがある→←まるで燃えてるみたいだね



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しきみ(プロフ) - しゃろさん» コメントありがとうございます!勝手ながらにリニューアルしてしまいましたが、楽しんで頂けて何よりです!暫くは早めの更新となりますので、ゆっくりでも読んでいただけたら嬉しいです! (2019年8月31日 19時) (レス) id: 0cd86406d9 (このIDを非表示/違反報告)
しゃろ(プロフ) - コメント失礼します。リニューアルされる前のお話も好きだったのですが、こちらのお話も読み応えがあり、以前よりも読むのが楽しくなりました。あなたの書く文章がとても好きだなあと感じています。季節の変わり目、体調などにお気をつけて更新お待ちしております。 (2019年8月29日 23時) (レス) id: 29ef3d46ba (このIDを非表示/違反報告)
りんご - お話とても面白かったです!金平糖のことなのですが、織田信長の好物だったらしく、ポルトガル(?)との貿易で入手したらしく活躍した部下には直々に渡していたようですよ。 (2019年7月10日 18時) (レス) id: 7ea393d4f2 (このIDを非表示/違反報告)
しきみ(プロフ) - あいうえおさん» ありがとうございます!早く他のキャラクターも出せるよう大急ぎでお話進めていきたいです!頑張ります! (2019年7月9日 0時) (レス) id: 0cd86406d9 (このIDを非表示/違反報告)
あいうえお - とっても深いお話でいいなと思いました!更新頑張ってください! (2019年7月8日 7時) (レス) id: d4ea0d195c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:しきみ | 作成日時:2019年7月7日 5時

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