異世界に来ちゃった話 【stpr】

story28 ページ29

「そんな……」


色々な感情が入り混じり、自分がどう思っているのかさえ曖昧になってくる。


な「でも、自分の事を厄病神みたいに思わないで。Aにら選ぶことなんて出来なかったんだから。」

なーくんは包み込むように暖かく微笑んだ。



「わ、私は、きっと祖母みたいに…強くないです…。


自分でもわかる…情けないくらい弱くてっ…私なんかがこの世界を救うだなんて…。

出来るわけ、ないです。」


一言一言発するたびに声が震えて、視界がぼやけるのを感じる。


あぁ、なーくんはどんな顔をしているんだろう。

そう思っても顔は上げられなかった。





な「そんなことないよ。Aは弱くない。」





突然のその言葉に顔を上げるとなーくんは私を見つめて優しく笑っていた。


どんどん視界がぼやけて、上手く息が吸えなくなる。




こ「そうだよ！！！Aが弱いわけないっ……！！！！」



急に、後ろから聞こえる切羽詰まった声にびくっと肩がすくむ。


振り返るところんくんがキュッと眉をつりあげたしかめた顔で目にうっすらと涙を溜めていた。



こ「もしっ弱いなら、突然こんな所で目覚めて、僕のところまで平気で歩いて来ないしっ…！！

知らない人と話さないっ！

学校なんて言ったりしないっ……！！！」




こ「なにより、アリスに選ばれたらしないっっ！！」




ころんくんのよく通る声が胸をぎゅっと締め付ける。

ずっと堪えてきた何かな、ぷつんと切れるような感じがした。


途端に心の底から込み上げてきた思いが溢れ出し、涙となって頬を伝う。



る「そうですよ。それに、誰が君を一人で戦わせるなんて言ったんですか？」


莉「1人になんかさせないよ？」


ジ「俺達がいるやんか。」


さ「一緒に戦うぜ？」


みんなの一言一言が心に届き、自分の中に熱いものが溜まっていくのが分かった。

すると、なーくんの私の手を握る力がぎゅっと強くなる。





な「俺達6人が仲間になるから。」





泣いてもいいよ、と言わんばかりに優しく微笑むなーくんを見て、頬を滑り落ちる涙は止まらなくなる。


色んな思いが重なって、とても言葉に出来なくて。


だから、たった一言。





「ありがとうございますっ…！」




小さな声だったけれど、6人はしっかり受け取ってくれたはずだ。

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