今日もこれからも、帰りたい場所がある➊

第二十八話　　最悪の最悪(ゆいか目線) ページ28

はあ、一時間目は、体育だって。しかも鉄棒だよ？もう最悪。

だって私、逆上がりできないんだもん。難しいじゃん。

あ〜！！やだやだやだ！！！やっと前回りはできるようになったけど、逆上がりなんてできないし。

ていうか、逆上がりなんてできて、何の役に立つわけ？

もー！！もしもみんなの前で逆上がりをやる、なんてことになったら、どうすればいいのよ！？

逆上がりなんてヤダ。鉄棒なんてヤダ。だいっっっっきらい！！

「幸花ちゃん、ゆいかちゃん、一時間目体育だから着替え一緒に行かない？」

さゆりちゃんが誘ってくれた。でも、今の私には鉄棒が嫌すぎて返事をする気力がない。

ごめんね。さゆりちゃん・・・

「うん！行こう行こう！」

幸花ちゃんも明るく返事をする。どうだよね。二人とも、鉄棒好きだし得意だもんね。

そう考えると、もう、ますます最悪だよ。

そんなことをごちゃごちゃ考えていると、

「ゆいかちゃん？どうしたの？」

幸花ちゃんが心配そうに聞いてくれた。優しいな。でも、ここはなんでもないふりをしなきゃ！

私はあわてていった。

「あ！う、ううん！何でもないよ。」

はあ。もう、鉄棒なんかやりたくないよ。

キーンコーンカーンコーン

あ、チャイムが鳴っちゃった。鉄棒の授業が始まっちゃう。

やだやだやだやだやだやだ！誰か助けてーーーーー！！

ドク、ドク、ドク、ドク

心臓が破裂しそう。

ヤバい。緊張してきた。

あ、最悪。やっぱり、一人ずつ逆上がりをやるんだ。

さゆりちゃんの番だ。めっっちゃ上手。いいな。私もあんな風にできたらいいのに。

つぎは幸花ちゃんの番だ。やっぱり上手だな勢いよく回る感じとか、うらやましい。

「次、ゆいか！」

はっ！！私の番だ。どうすればいいの？できないよできないよ。

ねえ、誰か助けて。お願い。神様。

体中から汗が噴き出してきた。緊張しすぎて何も考えられない。

先生、助けて。私、逆上がりができないんです。鉄棒は苦手なんです。

そりゃあどうだよね。伝わらないや。

じゃあ、できないってことを伝えるためにも、えい！！

私は思い切って鉄棒に足をかけようとした。でも、足は鉄棒にかからず、地面に落ちてしまった。

予想どうり。予想どうりなんだけど、やっぱり恥ずかしいよ。私、たちまち顔が真っ赤になる。

でも、できないってことはわかったでしょ？ねえ、先生。

早く、早くこの場から立ち去りたい。

「ゆいか、もう戻っていいぞ。」

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