今日もこれからも、帰りたい場所がある➊

第二十一話　　まるで小さい頃の私(さゆり目線) ページ21

鬼ごっこか。まあ、そんなに好きでもないけど、みんなやりたいみたいだし、やろうかな。

それにしても、幸花ちゃんは明るくて、元気で、騒がしいな。

まるで、小さい頃の私のよう。

「わーーーーーーーー！！ 鬼キターーーーーー！！」

え？何？びっくりした！！

幸花ちゃんの声か。小学五年生にもなってあんな大声。恥ずかしくないのかな。

なんでだろう。幸花ちゃんを見てるとイライラしてくる。

ふう〜。やっと鬼ごっこが終わった。正直、私も鬼が来ないかドキドキしちゃった。

でも捕まらなくてよかった。

「ゆいかちゃ・・・」

「幸花ちゃん騒ぎすぎだよ〜。鬼より幸花ちゃんにびっくりしちゃった！」

「ごめんごめん！私、鬼ごっこの時、すっごいドキドキして騒いじゃうんだよね・・・」

「アハハ！なにそれ〜おもしろ〜い」

「笑うことじゃないよ！いつも恥ずかしけど、つい騒いじゃうの〜！！」

え？なによ。何ゆいかちゃんと話してるの？

私がゆいかちゃんに話しかけようとしたのに。

しかもあんなに親しげに。幸花ちゃんはゆいかちゃんとそんなに仲良くなかったはずでしょ？

何なのよ。ほんとにひどい。ゆいかちゃん、もう幸花ちゃんと話すのはやめて。

私と、話そうよ。私と、仲良くしようよ。

幸花ちゃんなんて、どうでもいいでしょ？



キーンコーンカーンコーン

あっ！授業が始まる。私は急いで教室に戻った。

ふぅ。算数か。まあ、昨日家で予習してきたし、余裕だよね。

あ〜あ。暇だなぁ。算数の問題が簡単すぎ。五分も時間、いらないよ。一分で十分。

私はこっそり、幸花ちゃんのほうを見てみた。

は？

問題、全然解けてないじゃない。何やってるのよ。

もしかしてわかんないの？幸花ちゃんがそこまで頭が悪いとは。

もうすぐ五分経つのに、一問も解けてない。

変な子。いつもあんなに騒がしいくせに。自信満々に見えるのに。頭は全然よくないんだ。

そんな子と、どうしてゆいかちゃんは仲良くしているんだろう。

おかしいよ。

「ゆいかちゃ〜ん！一緒に話そ！」

「あ、ごめん！私、幸花ちゃんと遊ぶって決めてるんだ。また誘ってね！」

え・・・？なんで幸花ちゃんとばっかり遊ぶのよ。いいところなんてないでしょ？

も〜〜〜〜！！今度こそ！

私は五時間目の休み時間に、ゆいかちゃんに声をかけた。

第二十二話　　おかしい(さゆり目線)→←第二十話　　抑えきれない気持ち　(さゆり目線)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す