HERO (ページ1)

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Hokuto side

中学2年の冬。俺は憧れだったジャニーズになった。

いつだってキラキラ輝いて

たくさんの人に夢や希望を与えるスーパースターに

いつか絶対なってみせる！

けれど数年後、そんな純粋でまっすぐな夢は

一瞬にして打ち砕かれることになる。

______

「実は、ジャニーズのドラマを作ることが決まっててね...

出演した子たちでユニットも組んでもらうつもりなんだけど、

松村くん、これに出てみる気はある？」

「も、もちろん、出たいです！」

「じゃあ...これから僕が言うこと、

なんでも聞けるね？」

この瞬間から、

俺のジャニーズ人生は幼い頃思い描いたものとは掛け離れ、

どす黒く、穢らわしい色に染まって行った。

誰だか名前も分からない、見るからに偉そうな

太った眼鏡のおじさんのなんでも聞けるね？の言葉の意味も

わからないまま俺は高そうなホテルに連れて行かれた。

「あの...ここで何の仕事するんですか？」

「大丈夫、北斗くんは何もしないでいいんだよ」

当時高校生だった俺の身体は、

ホテルのふかふかなベッドにいとも簡単に押し倒された。

「な、何すんだよ」

「...北斗くん、偉い人にそんな口の利き方するなんて、

イケナイ子だね

僕がお仕置きしてあげるよ」

「おしおき、ってなッ...んんっ、ふ、ゃ...」

これが、俺のファーストキス。

純粋だった唇は、一瞬で汚いおじさんに奪われてしまった。

「っはあ、な、にすんだよ離せ！」

「生意気だな...ドラマ、出させないよ？いいの？」

「っ、それは」

「ドラマ出たいんだよね？もっともっと売れたいんだよね？

北斗くんは知らないと思うけど、

この世界ではこんなの当たり前なんだからね？」

ショックだった。

俺が憧れたあの人も、

一緒に頑張ってきたあいつも、

こんなことしてたんだって。

「どうするの？やるの？やらないの？」

「... 、やります」

「そうか、君は素直でいい子だね」

そう言って頭を撫でて来た、脂肪でムチムチした手は

汗でじっとりと湿っていて、酷く吐き気がした。