Into Your Eyes ＊Nozomu (ページ15)

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どうしようかと目を鞄へやったAさんに

望「…見てきてください。」

と言うと、ごめんね、といって立ち上がり

携帯を取り出した。

そしてディスプレイを見た瞬間、

大きく目を開いて眉を下げた。

望「…先輩ですか？」

あ「…うん、でも大丈夫。」

そう言ったAさんは明らかに作り笑顔で、

望「…今日は帰ったほうがええんちゃいます？」

と言うと、でも…と眉をもっと下げる。

きっとAさんのことだから、

自分から誘っといて帰るなんて、

とか思っとるんやろなって感じて。

望「俺のことは気にせんとってください。」

また今度続きしましょ？と言って笑ってみせると

あ「…ほんとにごめんね、ありがとう。」

と困ったように笑うと、さっきまで着ていた

自分の服に着替え始めた。

望「危ないんで送っていきます。」

あ「いや、いいよ！大丈夫だから！」

望「ダメっす。俺が心配やから。」

そう言って、ジリジリ距離を詰めると

頬を赤くして諦めたように、ありがとう。と笑った。

そんなAさんと並んで家を出る。

ほんまは手とか繋ぎたいけど、今はダメな気がして

行き場がない手を自分のコートのポッケに収める。

Aさんと先輩の家は二人の最寄り駅からすぐで、

ちゃんと家まで送り届けたい気持ちは山々なんやけど

って申し訳なく思いながらも

万一のことを考えて、俺の最寄りでいつもバイバイする。

望「あと2分でくるやん、丁度良かったっすね。」

あ「そうだね。」

そっから会話は途切れたまま、

電車が到着するアナウンスが流れた。

あ「…じゃあ、またね。」

望「はい、いつでも呼んでください。」

そう言うと、ニコッと笑って改札を抜けた。

そんなAさんの背中を見届けて、

俺は自分の家へ帰った。