【ポケモンSV】前を向こう【チリちゃん】 (ページ1)

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目と鼻の下あたりを赤くさせながら、Aはすっきりとした気持ちで、自身の友達―チリの元へと足を進めていた

やっと、やっと心の整理がついたかも

｢ククイ博士と話せて良かった｣

勇気はたっぷりと使って今は疲れ気味だが、その分頑張れた

もう、目を背けない

今なら、本当にそれが大丈夫な気がする

｢チリちゃん、いるかな？｣

ドアを開けてクラスの中へ足を踏み込めば、見慣れた深緑の髪が目に入る

目が合うと、安心したのか…なんなのかは分からないが心が熱くなっていき、冷房の効いた部屋なのに…とAは不思議に思いながらも笑い合った

｢こっぴどく叱られたらしいやん？｣

ちょっといたずらっぽく言いながら、近づいて来てくれる友人

｢叱られては…いや、叱られたのかなぁ？｣

あはは…と頬を掻きながら視線を横にずらす

これ多分、オモダカさんの策略？なのかも

｢…恐ろしい｣

｢よっぽど怖かったんやな｣

｢自分が居らん間、チリちゃんごっつ詰まらんかったわ｣と、話が噛みあっていない気もするがAはあえて何も言わなかった

自分よりも少し大きく細い手が、よしよしと頭を撫でてくれる

そんなこと初めてで、Aは擽ったい感覚になるも撫でられるとやはり気持ち良いのか、もっともっと！とチリに擦り寄る

｢…っ｣

｢…チリちゃん？｣

｢いや、何もない｣

呼び出しくらう前より、なんか素直になっとらん？

何があったんや？とチリは困惑気味にAを見るが、正確な答えが出てくることはない

｢…｣

他にもクラスには、数人の生徒がチラホラと居るのがチリの肩越しから見て分かる

本当なら、人気者と一緒にいる姿なんて、以前のAだったら避けたかったもの

でも、今は違う

チリ(友達)といて何が悪いんだ

人見知りに変わりはないけど

小さな１歩でも私、前に進めてるよ

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