アホや ページ40
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「ほんま、何やってんにゃろ」
寮の自室にて
朝からアホやなぁとボヤきながら、チリは洗面台の鏡と向き合っていた
昨日のAの好みのタイプ(というより消去法だった)に合わせようと前髪を右から左へと思いっきり流し、ついでだからと伸びてきた髪を後ろでひとつの束にした
…のだが、自分のやっている行動に何だか恥ずかしくなってくる
最近はおかしいと…なんの根拠もないっていうのに…
「…これで自分はレーダー反応するんやな?」
苦し紛れの言い訳に、もう一度自分の顔を確認してから制服を身に纏い、扉を開けて学校へと向かった
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「まずは、チリちゃんの名前知ってもらうとこからやんなぁ」
昼食の昼休憩、この時間が絶好のチャンスだと言わんばかりにチリは、Aとの接触を図ろうため校内を彷徨いていた
「…なにしとるんや」
校内を隈なく探してやっと見つかったと思えば、当人は中央広場の木の下で何やら頬を緩ましている
何かに気を取られているみたいだが、ちょうど草の生い茂った場所であるためチリには分からない
よし、さっそく声をかけようと一歩足を踏み出した時…
「チリちゃーん!」
「やっぱりそうだ!噂通りチリちゃん、髪型イメチェンしたんだね!」
どうやらレーダー反応は、Aよりもほかの女子の方が長けていた
情報網が早くて恐ろしい
「せやねん!どお?」
「めっちゃかっこいい!」
行く手を阻まれた女の子に黄色い声をもらいながらも、チリはちらりとAを見る
「…!」
「…」
バチり、と目が合う
向こうは驚いたようにつり上がった目を大きく瞬かせている
やはりチリにはまだレホールのような態度は見せてくれない
とりあえず印象を良くするため、爽やかな笑みで返す
が、案の定というべきかAは気まずい表情しかしない
仕方がない、チリのことは覚えていないんだから
「あっ」
結局、ぎこちない会釈だけ返されてその場をそそくさと去られてしまった
「…」
まだ大丈夫…チリちゃん焦んな…と心に言い聞かせ、それからもAに(しつこく)接したおかげで…
「すいません、急いでいるので…!」
その結果、あまりにも避けられすぎて
「そない怖がらんでも、きばる必要もないっちゅーねん…ただ、話聞いてほしいだけやん?
…せやのに
あからさまに避けられるとこっちかて傷つくで?」
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きら(プロフ) - パピコさん» コメントありがとうございます!ですよね!チリちゃんの妄想が止まらなくてつい書いてしまったんです。ちなみにアンケートの件、実際どうでした?。ブルロの推しかぁ…結構分け隔てなく推しているんですが、強いて言うなら潔くん蜂楽くんですかね*´꒳`* (2023年2月23日 11時) (レス) id: a4108a0bcf (このIDを非表示/違反報告)
パピコ(プロフ) - 初コメ失礼します。小説とても面白いです!チリちゃんの小説割りと少ないのでチリちゃんの面白いのあって嬉しいです。あと余談なのですが、私もブルロ沼ってます!ブルロいいですよね〜。誰推しとかありますか?私はお嬢、凪くん、蜂楽推しよりの箱推しです! (2023年2月23日 10時) (レス) @page42 id: 1442eac3b7 (このIDを非表示/違反報告)
きら(プロフ) - 餅さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けるなんて恐縮です( ̄^ ̄゜)文章力は貧しいかもですが、これからもこの作品をよろしくお願いします(>人<;) (2023年2月9日 3時) (レス) id: a4108a0bcf (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - 初コメント失礼します。一番初めの導入でグッと引き込まれてから、面白くてあっという間に読み終えてしまいました…!先程お気に入り登録致しましたので、続きを楽しみにお待ちしております! (2023年2月8日 21時) (レス) id: 2288440125 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きら | 作成日時:2023年1月23日 21時