レーダー ページ38
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だが、その脈打つ心臓もAの言葉で直ぐに萎えてしまった
「ほう…それは誰だ?」
「分かりません」
「…そんな即答で言うことか?」
「分かりませんよ、だってあの時はもう何もかもどうでも良くて…余裕がなくて…視野が狭かったっていうか…一日一日のことがよく思い出せなくて…そもそも名前も知らないし」
…マジで?
声にも出ない…それ即ち絶句
確かにあの時のAは正常ではない感じだった
それでも、覚えているという期待がチリの中であった分、全て底へと落とされてしまったような気分だ
「じゃあ、なんや?次会ったら初対面のフリせえってこと?」
それくらい重症だったのか…と無意識に頭を抱えしまったのは言うまでもない
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「でも、もう会うことは叶わないと思いますよ?だってアローラ地方出身の方だろうし…」
その本人が後ろにいるとも知らずに、平然とそんなことを言うAにチリは自分の後ろに本人おるでぇ!と叫びたい気持ちになった
「そう言って、この学校で出会したらどうするつもりだ?」
「どうするって…私、人の顔覚えるの得意じゃ…はっ…!もしかしてそれは引き寄せ体質と何らかの因果関係にあってそれにしか私のレーダーは反応しない」
「つまらんことを言うな」
「あでっ」
名推理と言わんばかりにAは、顎を撫で饒舌に話すがレホールに軽く頭をチョップされ、その後の言葉は喉の奥で消えてしまった
「全く…変なレーダーや」
呆れ混じりに、チリは自身の髪先に手を触れてみる
ちなみに今は前髪を下ろしている状態
…
って、考えとんねんウチは…そこまでせんでも
今、自分が考えてついてしまった思考に小恥ずかしくなって急いで赤くなった顔を冷ますため、手で扇いでいるチリなんて知らない2人はそろそろお開きな空気となっていた
「もう他に言うことはないか?」
「なんの脅しですか?」
「違う、これ以上話すことがないなら時間を割く理由もないということだ」
あぁ、もう終わりが来てしまった…その事実がAを憂鬱な時間へと持っていく
あぁ、また思い出してしまう…
「…今日は、オモダカさんいますかね…?」
「…さぁな、あの人はトップチャンピオンなだけあって忙しい」
「…ですよね」
苦し紛れで繋ぐ会話もすぐに途絶えてしまった
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きら(プロフ) - パピコさん» コメントありがとうございます!ですよね!チリちゃんの妄想が止まらなくてつい書いてしまったんです。ちなみにアンケートの件、実際どうでした?。ブルロの推しかぁ…結構分け隔てなく推しているんですが、強いて言うなら潔くん蜂楽くんですかね*´꒳`* (2023年2月23日 11時) (レス) id: a4108a0bcf (このIDを非表示/違反報告)
パピコ(プロフ) - 初コメ失礼します。小説とても面白いです!チリちゃんの小説割りと少ないのでチリちゃんの面白いのあって嬉しいです。あと余談なのですが、私もブルロ沼ってます!ブルロいいですよね〜。誰推しとかありますか?私はお嬢、凪くん、蜂楽推しよりの箱推しです! (2023年2月23日 10時) (レス) @page42 id: 1442eac3b7 (このIDを非表示/違反報告)
きら(プロフ) - 餅さん» コメントありがとうございます。そう言って頂けるなんて恐縮です( ̄^ ̄゜)文章力は貧しいかもですが、これからもこの作品をよろしくお願いします(>人<;) (2023年2月9日 3時) (レス) id: a4108a0bcf (このIDを非表示/違反報告)
餅(プロフ) - 初コメント失礼します。一番初めの導入でグッと引き込まれてから、面白くてあっという間に読み終えてしまいました…!先程お気に入り登録致しましたので、続きを楽しみにお待ちしております! (2023年2月8日 21時) (レス) id: 2288440125 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きら | 作成日時:2023年1月23日 21時