【ポケモンSV】目を背けないで【チリちゃん】

勘違い ページ26

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…は！本当だ！よく考えたら私この人の名前知らない！！

今さらかよ！と突っ込みたくなるくらい自分で勝手に付けたあだ名を本名だとばかり信じ込んでいたAは、驚きと羞恥と申し訳ない気持ちに謝罪したくなった


けど言えない…そんな酷いあだ名で呼んでましたなんて言えるわけがない


｢ほ、本当デスネ｣

｢せやねん｣


ていうか、物申したいとかじゃなかったんだ…先走った妄想をして損したし、蓋を開けてみればそこまで大層な事じゃなかった




チリはただ、Aに名前を知ってほしかった

それだけだったというのに、とんだ勘違いはここまで拗らす形になり、最後は仲良くびしょ濡れになるという第三者から見れば｢どういうことそれ？｣と訳のわからなくなるような結果となった


｢ほんと…そっかぁぁぁ…！｣


ずっと気の張っていたAは、その事実に安堵から一気に疲れが襲いかかってくる

チリはというと、やっとや！という感じで達成感に喜びを感じながらも、わざとらしく咳払いをして片手を差し出した


｢うちの名前はチリっちゅーねん！気軽にチリちゃんって呼んでな！｣


｢あ、はいよろしくお願いシマス｣


｢自分は名前なんて言うん？｣

｢あ、Aデす｣


｢へぇ〜、Aちゃんかぁ…かいらしい名前やん！｣


慣れない言葉のキャッチボール、動作にAは緊張しながらも握手を交わした



｢か、かわ……？チリ…ちゃん｣




…ん？…チリ…ちゃん？



Aの中でチリの名前が復唱されると、何故か小さな引っかかりを感じた


｢よろしくな！Aちゃん｣


なのだが、チリの太陽にも負けない笑顔が疑問を凌駕されてしまい、また後光が差してるように見えたとか





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｢髪の毛…濡れましたね｣

｢おう、せやな｣


軽い騒動が終わったあと、スッキリした気持ちで２人は世間話のようにお互いの濡れた髪を見て軽く笑い合う


｢パ、パウ｣


でも、まだスッキリしていない小さな子が１匹(人)



｢シャル？｣


２人…特にチリに勘違いして怒った挙句、水を浴びせてしまったことに強く反省しているらしい


｢パ、パゥ…｣


ごめんなさい


シャルはAのこととなるとおかしくなるだけで、本当は誰にでも親切な心優しい子なんです




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