【ポケモンSV】目を背けないで【チリちゃん】

冷たい ページ19

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｢…｣


前にはイケメンの顔、横にはイケメンの手、後ろには壁、はい壁ドン一丁出来上がり



｢そない怖がらんでも、きばる必要もないっちゅーねん…ただ、話聞いてほしいだけやん？

…せやのに



あからさまに避けられるとこっちかて傷つくで？｣




そして、今に至る



こんなことされて卒倒しない女子は存在しないだろう
Aとて例外ではない、もちろん違う意味で…

人気のない校舎裏のような場所だろうか…そこに連れてこられたAは、今にもピッピにんぎょうを置いて逃げたい気持ちだった



そんなにゆっくりとした口調で言わないで普通に怖い



｢なんでそない逃げんの？｣

｢え、えっ…と｣


何度だって言う…これはご褒美ではない
カツアゲ、もしくは尋問だ


｢なんか悪いことでもやった？｣

｢滅相もございません｣



チリの微笑むその表情は、逆光により妖しい雰囲気を醸し出していて、まるで獲物を定めた獣


タレ目だと余計にこうかばつぐんだし、言葉には少し怒りの声が出ている


そりゃそうだろう、あれだけ逃げていたんだから


だが、もう逃がせまいと阻まれた身体
チリの身長は、Aの身長からだと見下すような視線になる

暗いという演出も含まれているからか、瞳は静かで冷たい


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“なんで、あんたなのよ”


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過去にもいた、そんな目をする人

Aの記憶に連想させるあの日、見下ろされるあの、冷たい表情に目


怖い、怖い



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｢ご、ごめんなさい｣


耐えられず絞り出した声は、あまりにもか細くて

瞳からは光を失い、恐怖から目には涙で薄い膜が貼られ、視界はだんだんぼやけていく


｢…っ｣


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