条件付きで、これからも 二 ページ27
太宰は先程とは打って変わって、何処か落ち着いた様子で続きを促した。
「まず一つ目」
そう云ってAは人差し指を立てる。
「私の家族には一切関わらない事。A家の内、太宰君達マフィアの人間と中原君が関わって佳いのは私だけ」
太宰は目をぱちくりとさせる。
「君の家族?」
「はい。義母さんに義父さん。義姉さんと私の四人家族です。でも、義姉さんは……」
「大学進学を機に、家にはいない……とかか?」
云って佳いものだろうか、と言い淀んだAに対して、中也が憶測を話す。Aはそれに頷いておく事にした。
「勿論、内部事情や、過去のことを彼れ此れと調べるのも禁止です」
「ふうん。まあ、そのくらいは」
太宰は、Aの家族には特に興味を示していない様だ。
よかった、と内心でホッとしておく。此れで、マフィアの人間が義両親に接触する可能性は無に等しくなったからだ。
「二つ目ですが」
Aはもう一本のゆびを立てる。
「私が踏み込んで欲しくない事には、踏み込まないで下さい」
*
「……其れ、何かやましい事があるって白状してる様なものだよ」
太宰の探る様な視線に、待ってましたとばかりにAは彼を指差した。
「其れですよ、其れ! 私は何もやましい事は有りませんし、異能力者でないのも事実! 太宰君の探る様なその目と、尋問みたいな空気感が嫌なんです! 私、一般人! マフィアのドス黒い雰囲気、怖い!」
最後の方は片言に聞こえなくもなかった。余りにも必死なAに、中也は思わず同情してしまう。
「おい手前、此奴の言う通りだぞ。一般人にお前の其の冷酷な雰囲気は耐え難いだろ」
「冷酷って……。判ったよ、条件を呑んであげるから」
太宰はため息を吐くと、頬杖をついた。
「僕は君の家族には一切接触しないし、君が踏み込んで欲しくない事には踏み込まない。これで佳い? これからも僕と遊んでくれる?」
太宰はコテンと首を傾けて問いかける。
なんっだ其のあざとさ……。幼女かよ。
中也が引き気味に太宰を見ている目の前で、Aは悶えていた。余りにも不本意だったが、太宰は顔が佳いし、其の使い道もわかっているのだ。
「うん、うん。一杯遊んであげるぅ。一杯遊ぼうねぇ……」
「わぁい! 嬉しいなぁ」
遂に堪えきれずに言葉を漏らしてしまった。中也は其の引き気味な目線を、太宰からAへと移した。
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息抜き(プロフ) - 黒猫さん» 結果主人公の心情優先で書いて、場面を飛ばし飛ばしにしてた箇所もあったのですが、上手く伝わっていた様で良かったです……。続編も更新頑張りますね! コメント有難う御座いました! (2022年12月25日 23時) (レス) id: aff75be4a1 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 初めてのコメント失礼します!読みました!すごく面白かったです。文ストを見ていてチェンソーマンは少ししか見てないのですが、それでも場面の情景が鮮明に想像できました。毎日読みたいくらいハマりました!十五歳編完結おめでとうございます。更新頑張ってください! (2022年12月25日 21時) (レス) @page50 id: 68362437f9 (このIDを非表示/違反報告)
息抜き(プロフ) - 温泉煮卵!さん» 有難う御座います! 十六歳編、色々と準備してる段階なので気長にお待ちください……。 (2022年12月25日 10時) (レス) id: aff75be4a1 (このIDを非表示/違反報告)
温泉煮卵!(プロフ) - 十五歳編完結おめでとうございます、十六歳編の更新も待ってます!蘇生のシーンとか、特に楽しみです…! (2022年12月25日 0時) (レス) id: 61be09a0bb (このIDを非表示/違反報告)
息抜き(プロフ) - えむさん» コメント有難う御座います! 頑張りますね! (2022年12月6日 2時) (レス) id: aff75be4a1 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:息抜き | 作成日時:2022年11月3日 3時