【文スト】平穏な暮らしを望みます 〜十五歳編〜

玉蹴り大会、開催される　（下品です） ページ20

「あー、スッキリしたー」
　太宰は帰ってくると、無駄だとは思いつつも組織から盗み出した情報の在処を聞いた。すると驚く事に男は答えたのだ。次の質問も、その次の質問にも、男は全て答える。
　真偽を確かめる為に森の部下へ連絡し、男の吐いた場所へ向かわせると、確かに組織から盗み出した情報が発見された。
「……随分と素直になったものだね」
「お前の質問には……全て真実を答える……」
「今更命が惜しくなった……訳ではなさそうだ」
　Aは少し離れた所で、座りながらその様子を見ていた。

　「Aちゃん」
　やがて全ての質問を終えたのか、太宰がAに話かける。
「もう終わったんですか？」
「うん、彼が随分と馬鹿正直に答えてくれたおかげでね。でもおかしいんだ。僕が部屋を出る前と今とで、様子が違いすぎる。──ねぇ、Aちゃん」
　太宰は冷たい視線を彼女に向ける。
「僕のいない間に、この男に一体何をしたの？」

＊

　「何もしてません」
「嘘だね。そんな云い訳ですらない稚拙な言葉で、僕は騙されないよ」
　Aは焦っている。内心冷や汗ダラダラだ。
　此処でバレる訳にはいかないのだ。最後まで一般人として生き抜くには、この能力は余りにも邪魔すぎる。
「……判りました。教えます」

　名前は男の前まで歩いて行く。そして目の前に立った。
「足を開きなさい」
　この言葉にも能力は使用しているので、男は足を開いた。だが、Aが何をしようとしているのかは勘付いた様で、少し顔が青くなっている。
「ッフン──！」
「ウガァ！？」
「……え？」
　Aは男の股間を蹴り上げた。
　太宰は突然の出来事に、困惑した声を出した。

＊

　「とまぁ、この様に股間を蹴り上げたら従順になりました」
「……え？」
　太宰は訳が判らない、とでも云う様に首を傾げる。
「大体この男、今まで何人もの女性に無体を強いて来たことか！ もういっそ、玉なんて潰れてしまえ！」
　Aは途端に今までに被害にあったであろう女性たちに同情して、二回、三回と男の股間を蹴り上げた。
「はぁ、はぁ」
　荒く呼吸をしながら太宰の方へと振り返る。彼は目を見開いていた。
「太宰君もやります？ 心なしかストレスが発散されている気もします」
「えぇ、いや、えぇ？」
　太宰は若干引き気味の声を出していたが、そんな彼などお構いなしに蹴りを続けるAを数秒間見つめた。

　「……僕も……僕もやる！ 僕もやりたい！」

鮮明に思い出して、吐く→←命令

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