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命令 ページ19

「うん、此方は標的を捕まえたよ。たった今目を覚ましたから、これから情報を聞き出す。君達は森さんの指示通り、店にいる一般人に立ち退いてもらって。それが終わったら──」
 太宰は声を一段低くした。表情も目つきも、一気に冷たいものになる。
「店に残った先代派に一斉射撃──抹殺だ」
 Aは太宰と森の部下が電話越しで行う恐ろしい会話を、ただただ黙って聞いていた。

 やがて太宰は標的に向き直る。
「俺は何をされても情報なんぞ吐かねぇぞ、糞ガキども!」
 辺りに張り詰めた緊張感が漂うのを感じた。
「ねぇ、Aちゃん」
「え?」
 まさか此処で自分に話しかけられるとは思っていなかったAは、ほんの少し上擦った声が出た。
「──トイレに言ってきてもいいかい?」
「…………は?」
「いやね、先程まで飲んでいた大量の酒が、まさかこんな所で弊害を起こすなんて」
「判ったからさっさと行ってきてください」
 Aは太宰の言葉に被せ気味にそう云うと、走り去る彼のことを冷めた目線で見つめた。
 さっきの張り詰めた緊張感は一体何だったんだよ……。
 彼女はため息を吐いた。



 一人残されたAは、標的の男と向かい合った。
「情報を吐いたほうがいいですよ。拷問は凄く痛いでしょうし」
 あわよくば、太宰が帰ってきた時に目の前で繰り広げられるだろう拷問を阻止したかったのだ。何故なら、名前はあくまでも一般人。血生臭いことなんて見慣れていないし、痛みに耐える悲痛な声も聞いていたくない。
 だが男の返答は喜ばしいものではなかった。
「嫌に決まってるだろうが。森の野郎が新首領なんてごめんだからなぁ。嫌がらせしてやんだよ」
 Aは困り顔で男の前へとしゃがみ込んだ。

 Aは拷問される場面なんて見たくないし、今は一刻も早く帰りたくて仕方がないのだ。そして帰ったら義母と共に夕飯を作る。
 そも、この男は何人もの女性を犯してきたのだ。今更何をした所で、罪悪感はない。
「これは命令です」
 Aは状況を加味した上で、支配の悪魔の能力を使う事にした。
「太宰君の質問には、全て真実のみで答えなさい」

玉蹴り大会、開催される (下品です)→←標的確保



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息抜き(プロフ) - 黒猫さん» 結果主人公の心情優先で書いて、場面を飛ばし飛ばしにしてた箇所もあったのですが、上手く伝わっていた様で良かったです……。続編も更新頑張りますね! コメント有難う御座いました! (2022年12月25日 23時) (レス) id: aff75be4a1 (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 - 初めてのコメント失礼します!読みました!すごく面白かったです。文ストを見ていてチェンソーマンは少ししか見てないのですが、それでも場面の情景が鮮明に想像できました。毎日読みたいくらいハマりました!十五歳編完結おめでとうございます。更新頑張ってください! (2022年12月25日 21時) (レス) @page50 id: 68362437f9 (このIDを非表示/違反報告)
息抜き(プロフ) - 温泉煮卵!さん» 有難う御座います! 十六歳編、色々と準備してる段階なので気長にお待ちください……。 (2022年12月25日 10時) (レス) id: aff75be4a1 (このIDを非表示/違反報告)
温泉煮卵!(プロフ) - 十五歳編完結おめでとうございます、十六歳編の更新も待ってます!蘇生のシーンとか、特に楽しみです…! (2022年12月25日 0時) (レス) id: 61be09a0bb (このIDを非表示/違反報告)
息抜き(プロフ) - えむさん» コメント有難う御座います! 頑張りますね! (2022年12月6日 2時) (レス) id: aff75be4a1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:息抜き | 作成日時:2022年11月3日 3時

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