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#01 ページ2

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夜は嫌いじゃない。
煩くないし、眩しくないし、落ち着くし。だが、好きかと聞かれたら答えはノーだ。理由はいくらでもある。今夜の理由は簡単で、単純に暇だからだ。
やるべき事は終わっている。後はその日が来るのを待つだけなのだが、何分せっかちなものだから暇で仕方ない。
暇潰しついでに警戒区域内を空中散歩してみるが、さっきの今で変わっていることは家屋の明かりの有無くらいだろう。

(ホロウ)退治は任務ではないけど、どうせ暇なので暇潰しがてら指令が来ていないか伝令神機を確認する。すると丁度良いタイミングでピピピッと鳴ってくれた。出現場所は、ここからそう遠くなさそうだ。瞬歩を使うまでもない。
数メートル前の空間が歪むのが視認出来たと同時に現れたのは、大きな骸骨の様な仮面。出てきたと同時に此方に向かってくるのは奴らの習性なのか。巨体の割りに俊敏だが、それでも退屈だと感じてしまう。
抜刀することも億劫だが鬼道で霊圧を消費するのも何なので、居合い切りの真似事で真っ二つにしてやった。喧しい号哭と共に虚が霧散していくのが背後で感じられ、大人しく納刀した。
やはり、つまらなかったよ。


暫くは虚も出現しないだろうし、これ以上はどう考えてもやることが無いのでそこら辺の電柱のてっぺんに腰を下ろした。何時しかそこに腰を下ろすことにも、何のスリルも感じなくなってしまった。
今度は何をして暇を潰そう。電線で綱渡りでもしてみようか。
なんて、そんな風に考えるのもいい加減馬鹿馬鹿しいことくらい、とっくに分かっていた。
呆れて溜め息が出る。これで今夜は何度目か。数を数えることにも飽々してしまった。

いつからだろう。こんなにも夜が長く感じるようになったのは。何とも言い難い寂寥を感じるようになったは。
思い当たる節が無いことはないが、もしそうだとすればそれは死神の仕事をしていれば良くある事だったし、昔の事を引き摺りすぎだ。あのことを思い出す度に何とも言い難い気持ちにさせてくる自分の潜在意識も鬱陶しい。


まあどうせ現世滞在も後1日か2日。となれば、行くところは決まっている。
仕方なく仕方なくと自分に言い聞かせてはいるけれど、足を運んでいるのは自分なのだ。全く、こんな自分にも呆れてしまう。

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ぎるたん - シグさん» お返事遅くなりすみません。 コメントありがとうございます。浦原さん選んで良かったなと思いました笑。 完結まで頑張りたいと思います! (2020年4月20日 1時) (レス) id: abc690efab (このIDを非表示/違反報告)
シグ - 面白いですね!?僕は浦原さん好きなので…応援してます!頑張ってください! (2020年4月17日 19時) (レス) id: b759b643e6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぎるたん | 作成日時:2020年4月13日 1時

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