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映像が流れて、演技をひとつひとつ振り返り、全ての技がクリーンだったことを確信する。
「点数でますかね」
「フィンランディアよりかは、な」
トップバッターだから抑えられるかもしれない、とコーチは付け足した。
やはり採点するのは人間。
最初の滑走者が基準になってしまうから、高すぎても低すぎても、この後の採点に大きく影響してしまうのだろう。
正直もう細かい部分まで覚えていないけれど、練習した過程が点数に反映されるといいなあ。
しばらく待つと、目の前の画面に私が大きく映った。
何を求められて私が映っているのか分からなかったけれど、会場で拍手が起こったので拍手するべき時間なのだと思い、みんなと一緒に拍手すると小さな笑いが起こった。
思考が回らないでいる私に隣から助言が入る。
「お辞儀お辞儀」の言葉で座ったまま一礼し、「手でも振っとけ」の言葉で両手で小さく手を振った。
「前の試合のときも映されてたろ」
「そうでしたっけ」
「あ、キスクラ簡易的だったから覚えてねえか」
あとで宮原の演技終わったらキスクラで何するか見ててみ、とコーチが言うとスコアが発表されるために静寂に包まれた。
点数が公表されると、どよめきと拍手が湧き起こる。
とりあえず自己ベストは無事更新。やれることはできたみたいだ。
「これってシニアの大会では高いほうですか、点数」
「客の反応見りゃ分かるだろ」
大きく辺りを見回すと、こちらに向かって手を振ったり拍手をしたり、「Aちゃーん」と呼んだりしている方がたくさんいた。
それらに向かって手を振り返したり、立ち上がってお辞儀をしたりしていると「な？」とコーチが笑った。
「……すみません、正直反応だけじゃ分からないんですけど」
私がそう言う頃には、次の滑走者の名前が呼ばれていた。
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作者名：たこやき | 作成日時：2023年3月11日 12時
