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「今季の試合はこれで終わりですか」
デビューシーズンで2試合出場。
多いのか少ないのかは分からないけれど、出させていただけているだけでありがたい。
次の試合を控えている中で、すでにどこか満足してしまっているような気がする。
「んーうまくいけば全日本も出られるかな」
「全日本?」
全国大会的なあれだろうか。
「うん。ホントは地方大会を勝ち抜かないといけないんだろうけど、NHK杯出るから免除されるんじゃなかったかな」
「出られるんですか」
「確か、な。一応確認しとくけど、今年の全日本はオリンピック選考会と名のつくやつだから、他と比べられないくらいレベルは高いぞ。優勝者はオリンピック一発内定。異様な緊張感の中で演技するってわけ」
教え子をそんなところに連れて行けるなんて、指導者冥利に尽きるなあ。
話は勝手に進んでいくが、試合がまだ尽きないということを把握して何とも言えない感情が湧く。
しかしながら最近の練習は充実しているし、ルッツもフリップも帰ってきたし、曲かけのときの音もよく聴けていて何の引っかかりもない。
この練習内容で試合にどう影響していくかは楽しみだから、NHK杯でどんな評価をいただけるか、少し期待してみることにする。
「あ、そういやエキシどうする?」
聞きなれないワードにハテナが浮かぶ。
「えきし?」
「あ、エキシビっつう奴もいるか。フィギュアの場合ガーラっていうことも多いらしいけど、派閥があるなら俺はエキシ派かな」
「その全部が分からないんですけど伝える気あります?」
スケートに限らず、何かの専門用語を覚えようとするとキリがないと思う。
略語もあるし、どこの国の言語が由来なのって思うのもあるし。
きっと私の知らないスケート用語はもっとたくさんあるはずだ。
こういうのって勉強しようとせずに、何だかんだで覚えちゃうのが1番理にかなっていると私は思う。
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作者名:たこやき | 作成日時:2023年3月11日 12時