【銀魂】ひまわりの最期 弐 【高杉晋助】

五十五話 よかった ページ7

静かな病室の中


高杉はAを抱きしめていた

どこにもいかないように強く、強く


彼女の脈はどんどん弱くなっていく

心電図に出る心筋の活動の波も弱くなってきた


もうすぐ手の届かないところにいってしまうのだと嫌でも感じてしまう


「本当は一人で静かに終わるつもりだったんです


その方が誰も傷つかないから」


高杉が考えていることを悟ったのか己の最期を語りだすAの声は先ほどよりもさらに力なく聞こえる


「でも最後に一目でも貴方を見れたらって

少しでも近くにいたくて

“過激派攘夷浪士高杉晋助は江戸にいる”

このことを信じてこっちの病院に移ったんです」


弱々しくなった彼女の声は蛍の光のように儚い

それでも見せる表情は変わらず笑顔でいる


「また会えたらと思いながらお医者様の隙をみて病院を抜け出したりもしたんですよ」


ふふっと彼女はやわらかく笑う。

あと少しでその笑顔は見れなくなってしまう

そんなこと、考えたくない


「でもやっぱりみつからなくて

途中でひまわりがとっても似合う女の子にあったの

その子は私の話をなんでも聞いてくれて

銀時さんや小太郎さんにまで会わせてくれたんです」


きっとその女とやらはAに会いにいけと言ったガキのことだろう

そいつはここ1ヶ月ほどの彼女を支えていてくれたのか


「だけどやっぱり最期は一人で静かに終わらなくちゃ

誰も傷つけちゃいけないと思って

一度さよならって言ったんだけど

最後の最後まで一緒にいてくれた」


本当に優しい子だった


彼女は穏やかに笑う

心電図が警戒音を鳴らし始めても誰も来ようとしないのは

医者には一人で終わりたいと伝えたからなのか


「私、ここに来てよかった

とっても優しい子に出会えて

銀時さんにや小太郎さんにまた会えた

何よりも



晋助さん、貴方に会えたんですもの」


やっぱり一人きりでいるより


誰かが傍にいてくれた方が

寂しくないですね

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