この世界、魔法のレベルが低すぎる【ツイステ】

4話　棺桶の中から ページ7

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と、その前に、二十分ほど時間を巻き戻してみることにする。
まだ馬車がかぼちゃに戻る前。鏡の間に棺桶たちが運び込まれてしばらく経った頃―――

かたかた。

誰もいないその部屋に静かな物音が響く。
かたかた、かたかたがたがた。
その音は徐々に大きく激しさを増していき、

ばんっっっ！！！！

爆発音に似た音と同時に部屋に浮いていたひとつの棺桶の蓋がはじけ飛んだ。

「やっと開いたわね」

ふわりと地面に着地して、中から出てきたのは一人の生徒のようだ。
自分がなにを仕出かしたか気づいていないらしい彼女は、ぼんやりと辺りを見回している。

彼女？？？？？？

...―――ここはナイトレイブンカレッジ。

この世界でもトップレベルの魔法士養成機関である、四年制の男子校だ。
そう。大事なことなので二回言おう。ここナイトレイブンカレッジは、男子校だ。

そして今日は入学式で、棺桶に入っているのは新入生のはずで。
しかしそんなことは露ほども知らない彼女ははて、と首を傾げる。

「ここはどこかしら」

さきほど棺桶の蓋を吹き飛ばしたのは間違いなく彼女であるはずなのに、その事実を疑いたくなるような柔らかい声と口調が部屋に落ちる。

彼女はきょろ、と周りに視線を巡らせて、順番に三つのことに気が付いた。

ひとつめ。自分が寝ている間に、なにか厄介なことに巻き込まれたらしいこと。

普段通り仕事を済ませて自分のベッドにもぐりこんだはずのこの体が、いつの間にか全く見覚えのない場所にいる。

寝泊まりしている場所には常に結界を張っていたから、自分を起こさず別の場所に運べる物があったとすればそれはまず間違いなく魔法とみていい。
転移魔法のたぐいかしら、と身体を探ってみるが、特定の魔術師の魔力の残穢は残っていなかった。犯人は余程の手練れということだろうか。

そしてふたつめ。私の入っていたのとはべつに、もう一つからっぽになっている棺桶。

　

......かんおけ？？？？

思わず二度見する。棺桶。間違いなく棺桶だ。
ということはもしかして、さっきまで私が入っていたのも――

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