11話 異世界からの迷い人 ページ15
何分そうしていただろうか。
あまりにも混沌としたこの状況に、そろそろ黙らせようかしら、と少々物騒なことを考えはじめた頃。
「...ふぅ」
おもむろに叫ぶのをやめた男――暫定、鴉と呼ぶことにする――がくるりとこちらへ振り返った。
この人なんなのかしら...切り替えが早すぎて怖い。
今度はこちらを見てなにやらぶつぶつとつぶやき始める鴉の頭を本気で心配していると、彼はこちらに歩み寄ってくる。仮面で覆われた顔はしかし、なかなかに沈痛な表情をしているように見えた。
「あぁもう本当に頭が痛い...しかし叫んでいても仕方がありません。
とりあえずあなた!」
「なんでしょう」
「今から聞くことに正確に答えてください」
「はあ」
なにかしら。
すぅっと息を吸い込んでから、その鴉は恐る恐る口を開いて―――
「あなた、どこからきたんですか?」
数秒の間。
「―――は、あなたが連れてきたんでしょう??私は自分の部屋で寝て、起きたらここにいたのよ」
質問が予想の斜め上を行きすぎだ。
思わず固まったAは呆れてそう返した。意識していた敬語も崩れたがもうこの際構わないだろうか。
どこから来たのかって?そんなことよりここがどこなのか教えてほしいわ。
半ギレではぁと溜め息をついたら、鴉が負けじと盛大な溜息を吐いてその肩を落とす。
「はぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜...」
「え???」
なに?
連れてきたのはそっちでしょう。え、なにちょっとこっちが悪いみたいな、困りましたねぇみたいな雰囲気出してるのかしら、あんまりふざけてるとカエルにするわよ????
と、そんな不穏なことは思うだけに留めておいて。
もはや憤りよりは困惑の方が勝って相手の不可解な行動をひたすら見つめていると、
「...状況は分かりました」
肩を落としていたせいで3分の2ほどにしぼんで見えた鴉が、ふうっと背を伸ばしてこちらを見据えた。
――刹那、奇妙な感覚に陥る。
先程までの行動と一転して落ち着いたそのたたずまいすべてから、滲み出る底の知れない威圧感。
うっかりと気圧されそうになって、こちらも自然と背筋を伸ばして正対した。
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まま - 上手に書いてそう、読もっかな?と思ってたら髪と瞳と性格の設定見て厨二臭くて、一周回って逆にわくわくする (2021年8月16日 14時) (レス) id: 40b8a4973a (このIDを非表示/違反報告)
nomnom(プロフ) - おかめさん» いやぁぁぁぁんもう嬉しすぎます〜〜〜...ほんとにこんなおっちょこちょい作者の作品を応援して下さって、優しいおかめさんには感謝しかありません...!!よければこれからもコメント欄などでお話しさせてください〜〜!! (ご指摘いただいた箇所直してきました!!) (2021年4月6日 1時) (レス) id: f1b2cb7827 (このIDを非表示/違反報告)
おかめ(プロフ) - わたしもよく設定を間違えて覚えていてうわぁぁぁ恥ずか死〜!!!ってなります!笑この作品ほんとに大好きなのでこれからも応援させていただきます! (2021年4月6日 1時) (レス) id: f8a7fcbdc8 (このIDを非表示/違反報告)
nomnom(プロフ) - おかめさん» 話数まで丁寧にご指摘くださってありがとうございます!!作者よく深夜に目をこすりながら書いておりまして、そういうミスだらけだと思うので......今後もなにか見つけたらご指摘くださると嬉しいです!!!(土下座) (2021年4月6日 1時) (レス) id: f1b2cb7827 (このIDを非表示/違反報告)
nomnom(プロフ) - おかめさん» ああああそれ!!!!!直そうと思ってたの忘れてたんです〜〜〜〜!!!!ああもうほんとにお恥ずかしい、穴があったら入りたい、、恥ずかしさからくるオバブロ寸前ですわ...なおしてきますね!!!!(爆速) (2021年4月6日 1時) (レス) id: f1b2cb7827 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:nomnom | 作成日時:2021年2月24日 3時