どうせ 沖田side ページ46
……本当に、なんつーことだと俺は思う。
あろうことかソイツは、俺の直属の部下、真選組一番隊副隊長なんつーポジションに立ってしまった上に、俺の気持ちも何も知らないソイツは、
「沖田隊長!!いい加減起きてくださいよ!!」
……毎朝のように、俺を叩き起こしにくるのだ。布団に潜り込んでいる俺に布団越しで触れて、俺の身体を揺すりながらに声をかけてくるのだ。土方の野郎が来るのとは話が違う。朝っぱらから殺意が沸くようなこともなく、逆に満たされた気分になっちまうのだから参る。布団の中で、ついついニヤけそうになっちまうから、困る。
……だから、俺はそんなソイツに言い放つのだ。
「……なんだって朝からこんな不細工な面拝まなきゃなんねーんでィ…」
……どーせ、嫌われているのだ。
俺はヤケクソになるように思う。どうせソイツにはとっくのとうに嫌われているのだ。嫌な上司というイメージがついてしまっているんだ。だったらいっそのこと、ずっとそのままだったら苦しくない。望みなんて元々ないのだから。
……だったら嫌われてたってなんだって一緒だ。
……勝手に嫌われることを言って、それなのにまるでAが悪いとでもいうように自分に言い聞かせて、いじけて、酷い態度ばかり取ってきた。望みなんてないのなら、捨ててしまえと。
それなら、Aを俺の部下というたち位置から退けてしまえばいい話なのに、そんなことも出来ないまま、ズルズルと一番近くにおき続けていた。
…それは紛れもなく、俺の欲だ。俺のワガママだ。
嫌われていたいのに、嫌われたくなくて。一番近くに置いておきたいのに、遠ざけるような言葉ばかりを並べて。矛盾だらけで、どうしようもない。それでも自分の気持ちを捨てられないままで。
…本当は、分かっていた。
『お前、何しに来たの』
…Aが自分自身と意思で、真選組に入ったことを、自分で決めてここの門を潜ったことを、わかっていたはずなのに。
たぶらかすだとか、そんな邪な気持ちもなく、真っ直ぐにぶつかっていたことを、ちゃんと理解していたはずなのに。それなのに俺は、そんな最低な言葉をソイツに言い放った。Aを確実に傷付けた。
……後悔したって、その言葉はもう、戻ってきてはくれないのだ。
『貴方がそんな人だとは思いませんでした!!』
…その言葉が、俺の何かに深く突き刺さった。
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ゆきふく(プロフ) - 好きすぎて2週目に入りました。またお世話になります。笑 (2月9日 15時) (レス) id: c898271006 (このIDを非表示/違反報告)
雨散 - ああああああああああああああああ (2019年8月5日 14時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - 私は沖田さんになんてことを........ (2019年3月29日 15時) (レス) id: 544b2fa555 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ちあきさん» ちあきさん!ありがとうございます!!返信が遅れてごめんなさい!!一巻の沖田さんはツンデレが大きく出てますね(笑)甘々な沖田さんがこれから出てくるかと思われるので、甘い彼もご堪能くだされば幸いです!!お楽しみくだされば嬉しいです!! (2018年6月1日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - 沖田くんのツンデレええですね(笑) (2018年5月12日 22時) (レス) id: 3135ea492c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年9月11日 17時