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………え ページ40

「……なら、誤解解くしかねーわな」

「え」


……そんなよく分からないやり取りをしていれば、唐突に私の唇には柔らかいものが触れていた。今まで感じたことのない感覚に、状況がうまく飲み込めない。視界に映る一つ一つのものを確かめていく。

……とは言っても、見えるのは沖田隊長の、意外に長い睫毛や、サラサラの茶髪の髪くらいのものだけれど。


……え。


「ーーッ」


……目を見開いた。無意識に身体が強ばった。驚きすぎて多分口を開けたとしたら叫び声を上げていただろう。けれど、彼のそれに塞がれている口では、「んッ…」なんて声しか漏れてこなかった。頭が追い付かなくて瞬きを繰り返した。


……どうやら、キスされているらしい、と。

慌てふためく心臓とはうって変わり、私の頭は冷静にもそんな結論を自動的に出していた。顔には熱が集まって、今にも噴火してしまいそうだった。声にならない声をあげながら、私は沖田隊長の胸板を軽く叩く。

すると、渋々といった様子で隊長は私の唇を解放した。


「た、…たいちょ…」

「……これで分かったかィ」


…顔を真っ赤に染め上げて丸くした目で彼を見上げる。私の顔を見事に染めてくれた当の本人は「まだまだ余裕です」とでも言うような飄々とした顔をしており、いつも通りな彼の目は私を見下ろしている。


「……俺ァお前のこと、嫌いだなんざ思ったことねェよ」

「…ぇ」


どういうことですか、と。騒ぎ立てる心臓を押さえるように胸の前で両手を握って、真っ白になった頭で必死に言葉を捻り出そうとした。けれど。


「…ん…っ…!」


……そんな言葉を口にする前に、ちゅ、と再び唇が触れあって。次に離れた時には私はもう放心状態だった。

…何かを言おうとして、でも何を言えばいいか分からなくて口をパクパクとさせていれば、そんな私を見て隊長は意地悪い笑みを見せる。


「……つーわけだ。んじゃ、ごちそーさん」


……訳が分からないまま、沖田隊長はそんな言葉を残して私の部屋から出ていった。襖が閉まる音と微かな足音が聞こえて、私はそのままその場にペタリと座り込んだ。


「…ぇ、…え…?」


……バクッ、バクッ、と早い速度で心臓が鳴る。静かになった部屋にそんな音が響いてしまいそうだった。柔らかい感触が残った自分の唇に手を持っていく。


……さっき、沖田隊長が、ここに…、


「……え」



えええええええええええええ!!!!!!


…そんな私の叫びが、きっと屯所中に響き渡った。

出会い 沖田side→←誤解



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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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ゆきふく(プロフ) - 好きすぎて2週目に入りました。またお世話になります。笑 (2月9日 15時) (レス) id: c898271006 (このIDを非表示/違反報告)
雨散 - ああああああああああああああああ (2019年8月5日 14時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - 私は沖田さんになんてことを........ (2019年3月29日 15時) (レス) id: 544b2fa555 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ちあきさん» ちあきさん!ありがとうございます!!返信が遅れてごめんなさい!!一巻の沖田さんはツンデレが大きく出てますね(笑)甘々な沖田さんがこれから出てくるかと思われるので、甘い彼もご堪能くだされば幸いです!!お楽しみくだされば嬉しいです!! (2018年6月1日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - 沖田くんのツンデレええですね(笑) (2018年5月12日 22時) (レス) id: 3135ea492c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2017年9月11日 17時

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