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嘘でしょ ページ33

…不思議なものだなと、不意に思う。視界は目の前を映したまま、振るう手を止めないままに考える。少し前まで、この無機質な銀色を握ることすら、私の手は震えて怯えていたのに。人を斬るだなんて、もっと怖かったはずなのに。今では。


「っはあああっ!!」

「ぐあぁっ…!」


…震えたりもしない。怯えたりもしない。ただただ目の前に立ち塞がる敵を斬り伏せていけるだけの能力を身に付けていた。戦場では、殺らなければ殺られる。そう、副長は言っていた。そう。その銀色を向けられたら斬り伏せなければ、私が殺られてしまう。だから、私は剣を振らなければならない。

…躊躇うことなく、私は刀を振るう。


…きっと、正しいことではないのだろうと思う。どんな理由であれ、人の命を奪うことが、正しいはずがない。けれど。護りたいもののために、護るべきもののために。それを理由に、私は戦うと決めた。

正当化しようとしている訳ではなく。そう思う。


…護るべきもののために、この剣を振るうことは、間違いではないのだ。きっと。


だから、そう信じて私は、この銀色を握り締めるのだ。


「何…!?」
「俺達の方が、圧倒的に人数が多いはずなのに…!!」


絶えることなく男達の叫び声がこの場に響く。それを耳にしながら、それでも斬り伏せる。耳を塞ぎたくなるような音だらけの世界に、今、私は目を鋭くさせて存在する。死というものと隣り合わせの世界で、私は戦っている。こう思うと、現実味があまりないのだけれど。


…これは、現実だ。

映画でも、時代劇でもなく。私の見る現実だ。


「ああああっ!!」


私も叫びながら、懸命に戦う。斬って斬って、斬りまくって、息切れもそろそろしてきた。流石にこの人数を一人で片付けるのはちょっと疲れる。


「「おおおお!!!」」


…と、野太い声と共に、目の前に三人程の男達が一斉に飛び掛かってくる。それを私は自分の手にある刀でその動きを止め、払い除けては彼等を黙らせる。呆気なく彼等は地面に転がった。


…その時。

背後に殺気を感じた。振り向き慌ててそちらを見ると、そこにはいつの間に居たのか男が私に刀を降りかざしていた。それをスレスレで良ければ冷や汗が背中を伝う。

…が。それと同時に私の右足はメキッ、と嫌な音をたてた。


「っ!」


男を斬るが、その痛みに私はしゃがみ込む。ズキズキと、足首が痛む。どうやら、捻ってしまったらしい。


「嘘でしょ…!?」


思わず私はそんな独り言を呟いてしまう。

有り得ない→←運命



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設定タグ:銀魂 , 沖田総悟   
作品ジャンル:アニメ
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ゆきふく(プロフ) - 好きすぎて2週目に入りました。またお世話になります。笑 (2月9日 15時) (レス) id: c898271006 (このIDを非表示/違反報告)
雨散 - ああああああああああああああああ (2019年8月5日 14時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - 私は沖田さんになんてことを........ (2019年3月29日 15時) (レス) id: 544b2fa555 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ちあきさん» ちあきさん!ありがとうございます!!返信が遅れてごめんなさい!!一巻の沖田さんはツンデレが大きく出てますね(笑)甘々な沖田さんがこれから出てくるかと思われるので、甘い彼もご堪能くだされば幸いです!!お楽しみくだされば嬉しいです!! (2018年6月1日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - 沖田くんのツンデレええですね(笑) (2018年5月12日 22時) (レス) id: 3135ea492c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/  
作成日時:2017年9月11日 17時

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