……多分。 ページ29
*
「…と、いうことなんです」
「なるほどねェ…」
旦那に顔を覗き込まれ、「話聞いてやるよ」みたいなオーラを出されたら喋らずにはいられない。「愚痴を聞いてくれますか」との私の問い掛けに「おう」と快く頷いてくれたから、ついつい彼に沖田隊長への愚痴を溢しまくってしまっていた。こんな彼だから、人から慕われているのだろうとしみじみ思った。
「…私もまだまだ、頑張りが足りないのかもしれません。けど、隊長は、私のことなんて知りもしないくせに、あんなことを言ってのけやがるんです」
「うん、口調が混ざってるね。敬語がめちゃくちゃだね」
「…悔しかったんです」
…とてもとても、悔しい。私は唇を噛み締める。足に乗せている両手を握り締めて、爪を食い込ませていく。痛みなんて、どうってことはない。それよりも何より今、心の奥が痛む。鋭く、チクチクと。
『お前、何しに来たの』
その言葉が、私を痛めつける。その痛みに耐えるように、私は目を固く瞑った。瞼の裏は暗い。けれど、暗闇ではない。
私は、必死に沖田隊長のことを分かるようになろうとしていたのに、毎日毎日、彼に振り回されながらも彼の部下でいようと、彼の力になろうと、私なりに精一杯頑張ってきたのに。それなのにあの言い草は、あんまりだ、やっぱり。
…悔しい。悔しい悔しい。
「…私は、真選組で居たいんです。でも、隊長は私を、そんな風に見ているんです」
……どうしたら私は、彼等の、彼の力になれるだろうか。
……どうしたら私は、沖田隊長に『真選組』だと、『仲間』だと受け入れて貰えるだろうか。
…勿論、認めてほしくて真選組でいるわけじゃないけれど。それでも。
「…私は、どうしたら真選組になれるんでしょうか…？」
…私は、ちゃんと『真選組』でありたいのだ。
沖田隊長から毎日のようにされる意地悪とか罵倒も苛つくけれど。それよりも、何よりも、私は、彼等の、彼の仲間だと認められないことが、悔しくて堪らない。
…そんな不甲斐ない自分が、悔しくて堪らない。
「…お前は、なんつーか、真面目だな、ホントに」
俺にゃそんな生き方は出来ねぇや、と。旦那はケラケラと笑う。
「…そんなことないですよ。真っ当に生きてたら普通です」
「ねぇそれ名前伏せて俺を罵倒してない？然り気無く落としてない？」
そんなことは言ってない。
……多分。
…モヤモヤと、そんな嫌な感覚を抱えながら、私は白い雲が浮かんだ空を見上げた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1674人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきふく(プロフ) - 好きすぎて2週目に入りました。またお世話になります。笑 (2月9日 15時) (
レス) id: c898271006 (このIDを非表示/違反報告)
雨散 - ああああああああああああああああ (2019年8月5日 14時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - 私は沖田さんになんてことを........ (2019年3月29日 15時) (レス) id: 544b2fa555 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ちあきさん» ちあきさん！ありがとうございます！！返信が遅れてごめんなさい！！一巻の沖田さんはツンデレが大きく出てますね（笑）甘々な沖田さんがこれから出てくるかと思われるので、甘い彼もご堪能くだされば幸いです！！お楽しみくだされば嬉しいです！！ (2018年6月1日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - 沖田くんのツンデレええですね（笑） (2018年5月12日 22時) (レス) id: 3135ea492c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ピピコ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時：2017年9月11日 17時
