貴方が、 ページ24
「…何お前、土方さんのこと好きなのかィ」
「…は？」
沖田隊長は静かに言う。隊士の人達は今頃仕事に勤しんでいらっしゃることだろう。だから廊下は、とても静まり返っていて、隊長の声は微かに響き渡っていった。色の見えない、けれどその中に、冷静な怒りが含まれているような声だった。
…その声に、背筋が無意識に伸びる。ピリピリと、そんな感覚が肌を刺す。殺気とはまた違った気配。こんな隊長を、私はまだ知らない。
「…なんの、話ですか」
「とぼけるのかィ」
まぁいいや、興味ねーし、と。隊長は言う。掴まれた手首が、そっと離される。強く掴まれていたせいか、その余韻が残っている。ちょっとだけ痛い。私はその箇所をもう片方の手で擦る。
…隊長はつまるところ、何を言いたいのだろうか。
「そのために、真選組入ったのか」
「…は、」
「土方さんたぶらかすために、俺達ん中に入ったのかよ」
…何、言ってるの、この人。
「…そんなことっ…」
「それにしちゃ、随分と土方さんにご執着じゃねーか」
執着だなんて、そんなことないのに。たぶらかすなんて、そんなことしてるつもりないのに。私はただ、副長に相談しに行っているだけで、他意はないのに。
…なんで彼にそんなことを言われないといけないのだろうか。
「たまに居るんだよな、そーいう奴。何かしらの関係持とうとして無駄に話かけてくる奴とか、」
「だから、」
「お前もそういうクチなんじゃねぇのかィ？」
「たいちょ…」
「お前、何しに来たの」
…頭が、冷たくなっていく。
息が出来ない。苦しい。辛い。心臓の辺りが痛い。
…何しに来たの、なんて。そんなの。
「…何なんですか」
「、」
…江戸のために、護りたいもののために、
…彼等のために、私はここに居るのに。
「…私のこと何も知らないくせに、よくそんなことが言えますね」
……悔しい。なんで、こんなこと、言われないといけないの。不条理だ。
「……貴方の性格がひん曲がっているのは知ってました、けど」
……けど。
「…貴方がそんな人だとは思いませんでした！！！」
…やっぱり隊長は、私が嫌いで嫌いで仕方ないんだ。
……彼を知ろうだなんて、無理な話だったんだ。
「もう知らないです！！」
そのまま私は彼に背中を向けて走った。
途端に、目からは熱いものが溢れていた。
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ゆきふく(プロフ) - 好きすぎて2週目に入りました。またお世話になります。笑 (2月9日 15時) (
レス) id: c898271006 (このIDを非表示/違反報告)
雨散 - ああああああああああああああああ (2019年8月5日 14時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - 私は沖田さんになんてことを........ (2019年3月29日 15時) (レス) id: 544b2fa555 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ちあきさん» ちあきさん！ありがとうございます！！返信が遅れてごめんなさい！！一巻の沖田さんはツンデレが大きく出てますね（笑）甘々な沖田さんがこれから出てくるかと思われるので、甘い彼もご堪能くだされば幸いです！！お楽しみくだされば嬉しいです！！ (2018年6月1日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - 沖田くんのツンデレええですね（笑） (2018年5月12日 22時) (レス) id: 3135ea492c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ピピコ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時：2017年9月11日 17時
