背中合わせ ページ15
「……まぁ、肝が据わってるっつーことは認めてやらァ」
「……そりゃどうもありがとうございます」
鼻で私の言葉をあしらい、そんなことを言う茶髪さん。勿論皮肉混じり、というか皮肉しかない言葉だということも理解している。浮かべた笑みが嘲笑うような笑みだということも。私が返した言葉だって、そのままの意味ではない。恐らく彼も、それを理解している。
……第一印象。超超超、嫌な奴。
「…だが、肝が据わってるだけじゃここではやってけねぇよお嬢さん。大人しく帰ることをオススメするぜィ」
「……ご忠告、ありがたく受け取りますが、ご丁寧にお断りさせて頂きます」
……こんな人に帰れと言われて大人しく帰るほど、私は可愛くない。帰れと言われたら逆に帰りたくなくなる。困惑している風な二人には、ちゃんと許可を頂いたのだから引き下がる必要はないと判断する。話を聞いている分には、茶髪さんよりもお二人の方が地位は上らしいし。
……それに、そう簡単に帰ろうと思えるなら、ここには来ない。
「……チッ……面倒臭せェ…」
と、茶髪さんは溜め息混じりにそう言った。これは私の勝ちかと、勝手にそう思って内心ガッツポーズを決めていれば、その人は私を興味なさげに見据えて、冷たく言う。
「……帰らねぇっつーなら、こっちにも考えがあるぜィ」
「……な、なんですか…」
……赤い目が、鋭く光った。私を貫くように、鋭利に。それに声を詰まらせそうになりながらも、見つめ返しては私は口を引き結ぶ。冷や汗が背中を伝ったような気がした。
……すると。
「!…オイ総悟…!!」
シャッ、という静かで、無意識な音が、冷たい空気に響いた。その音が空気中で形になりそうなほど、鋭い音だった。近藤さんは慌てた声を出した。
……鞘から刀が、引き抜かれる音。
「もう一度言う。これが最後だ。このまま帰れ。ここは、お前みてェなのが居ていい場所じゃねェ」
「…ッ…」
……冷たく、鈍く光を放つそれに、背筋が凍った。声が出なくなる。その銀色の先が私に向けられ、一気に恐怖感が雪崩れ込み、私を襲う。
……彼が私にこれを振りかざしたら、私は死ぬんだ。とても非現実的で、今までの私とは遠いものだった。けれど、彼らからしたらその『死』というものは、背中合わせで。
……そんな中で彼等は、この銀色を握り締めて、死地で戦っているんだと、頭では冷静に、そう理解した。けれど身体は怯えで固まり、動けなくなっていた。
……生唾を飲み込んだ。
「どうした、とっとと死ぬか帰るか選びな」
「総…!!」
「……どうぞ」
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ゆきふく(プロフ) - 好きすぎて2週目に入りました。またお世話になります。笑 (2月9日 15時) (レス) id: c898271006 (このIDを非表示/違反報告)
雨散 - ああああああああああああああああ (2019年8月5日 14時) (レス) id: c6b3012422 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうか - 私は沖田さんになんてことを........ (2019年3月29日 15時) (レス) id: 544b2fa555 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ(プロフ) - ちあきさん» ちあきさん!ありがとうございます!!返信が遅れてごめんなさい!!一巻の沖田さんはツンデレが大きく出てますね(笑)甘々な沖田さんがこれから出てくるかと思われるので、甘い彼もご堪能くだされば幸いです!!お楽しみくだされば嬉しいです!! (2018年6月1日 0時) (レス) id: f6c7f9fb7e (このIDを非表示/違反報告)
ちあき(プロフ) - 沖田くんのツンデレええですね(笑) (2018年5月12日 22時) (レス) id: 3135ea492c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年9月11日 17時