私に興味がない凪くん。【凪誠士郎】

▼それ本気で言ってんの？ ページ37

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手招きされて入ったはいいものの、ホコリ一つ見当たらないだだっ広い車内はただただ居心地が悪かった。汚したらどれほど高額の弁償代を払わされるのか考えただけで顔が青ざめる。「そんなにかしこまるなって」と言われるがそうできたら困ってない。


それにしても、玲王が私を車に乗せて送ってくれるなんて初めてだ。彼女ならまだしも私にしてくるという事は、きっと人前では言えない何かがあるのだろう。


…ただなあ、ばぁやとやらがいるのが気になるんだよなあ。家まで送ってってくれるのはありがたいんだけど、これから話す内容をこの人にも聞かれるのか…。





「それでまず聞きたい事があって」


『ちょ、ちょっと待って。それってばぁやさんに聞かれても恥ずかしくない話題？』


「ん？ばぁやは俺の付き人だし、気にすんなって」


「はい。ここで聞いたお話は一切他言致しません」


『は、はい…』





玲王の付き人なのだ、信用はすべきなのだとは思う。人前で大事そうな話をするのは気が引けるが車に乗せてもらった以上文句は言うまいと腹を括った。





「まず聞きたい事はお前が凪と何があったかだ。最近気まずそうにしてるから気になってたんだよ。お前たちの関係からして喧嘩ではなさそうだけど」


『うん、喧嘩…ではないと思う』


「じゃあ何だよ？」





…あんまり人にペラペラ話す話でもないが、玲王なら他の人に変に広める事はない気がする。少し渋ったが私はテスト前の最後の凪くんとの会話を彼に話した。




あの時初めて凪くんの無神経な部分に触れてしまった事で、盲目だった視界がいい意味でも悪い意味でも広がってしまったのだと思う。


それをきっかけに嫌いになんて絶対ならないけど、このまま凪くんを好きでいるのは不毛なんじゃないかと思い始めていた。





『だって凪くん、私に一切興味ないし』


「…え、それ本気で言ってんの？」


『そーですけど』





はあー、とあからさまにため息をつく。


…え、何。






「凪はとっくにお前に興味くらい持ってるよ。話しかけなくなった間、凪は時々お前の事を見てた。…話しかけてくる後輩マネージャーを差し置いて、だ」


『嘘。気づかなかった…』


「…ま、凪も悟られたくなさそうだったしな」





以前のクラスメイトの言葉が蘇る。あの時はそんなわけって思ってたけど、まさか本当に私に興味を持ってくれていたなんて。






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