私に興味がない凪くん。【凪誠士郎】

▼爆散！負の感情 ページ26

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「…あ」


『！…おはよ凪くん』





いつぶりか登校時、昇降口で凪くんと出会した。相変わらず眠そうな姿を朝イチから拝めた事が嬉しくて駆け寄りたくなるが、いやいかんと自分を制する。



__まずは会話量と接触を減らすこと。



押して引く作戦において第一に置かれた事を思い出し足を止めた。友達曰く今までのが逆に多すぎるくらいだったらしい。それを少しでも減らす事で後輩よりも目を惹かせようという旨だ。





で、でも同じクラスなんだから一緒にクラスに行く事くらいは許してくれるよね…？頭に浮かんだ優愛と薫の呆れ顔を消し去り、彼の横を歩く。


その間、授業や先生の話など他愛もない雑談を挟んだ。大抵私が話を振って、彼が生返事するだけの時間だったけど。それでもこんな短い時間でも話せて嬉しいのに、この時間さえもこれから減るだなんて耐えられない…！発狂しそう！！


でも後輩のあの子に凪くんを奪られるよりかは百倍マシだ。そう言い聞かせて、私は彼と分かれた。ああ、さよなら私の癒しの天使…。





『………おはよう』


「鳩のフン落とされて犬のフン踏んで挙げ句の果てにスマホの画面バッキバキに割ったみたいな顔してるよアンタ」


「シンプルに酷い顔」


『…それよりダメージ強いもん…』


「え、マジで言ってる？」





凪くんと話せないのがツラいと小声で本音を吐露すると、二人は「くだらね」「三日坊主かよ」「三日ももたないって」とボロクソに言ってくる。傷口に塩を塗るタイプ？


朝っぱらからため息の絶えない私を見かねてか、二人はスマホをこちらに差し出してきた。底をつきそうな気力を出し切ってそちらに目を向ければ、走ってる凪くんの顔がばっちり映った動画が流れた。きっと体育祭の時のものだ。





『……ッ！！な…何でこれ』


「アイツの一個前の競技に出てたからね私。近距離で撮っておいたの。あ、本人には一応許可得てるよ」


『あなたが神だったか』





私でさえも撮れたのはブレブレの動画だったのに、近距離のはさらに画質がよくて走ってる凪くんの顔もよく映っている。さっきまでの負の感情は一気に消し飛んだ。





「とりあえずしばらくはこれで踏ん張れ」


『踏ん張ります…！！！』


「(これで1週間もつといいけど)」





シェアされた動画を糧に数日はそれで耐え凌いだ。






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