突然の電話 ページ2
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冷蔵庫から缶ビールを取り出しソファに座る
テレビでもつけようかとリモコンに手を伸ばした時
テーブルの上のスマホが震えてる事に気付いた
………母親だ。
滅多に電話なんてかけてこない相手に
若干の胸騒ぎを覚えながら受信ボタンを押す
「もしもし，翔？」
「…あぁ，どした？」
元気にしてるの，たまには電話しなさいよ……と
さして緊迫感のない会話の始まりに
たいした用じゃないのかと，すっかり油断してたから
母親のその言葉は完全に不意打ちだった
「ね，あなた，Aちゃんて覚えてる？」
「え，Aちゃんて…あれ？ 朋子おばさんとこの？」
「そうそう，そのAちゃん」
俺の従兄弟にあたる彼女とは
小さいころは毎年 夏休みやら正月に
ばあちゃんちで顔を合わせていたものの
それこそ，ここ7〜８年は会っていないはず
最後はいつだっけな…
そう，確か俺が医学部６年の冬，
彼女はすでにアメリカの大学に通っていて
クリスマス休暇に帰国した，とか言ってたっけ。
「え，Aちゃんがどうしたの？」
「うん……実はね…」
大学を卒業後，今はロンドンで勤務している彼女。
ちょうど数年前にうちの両親もロンドンに転勤になったもんだから
あっちでちょくちょく会っているという話は俺も聞いていたんだけど。
「来週，夏休みで日本に帰るそうなんだけど
ほら，あの子のご両親は去年からドイツでしょ？」
「あぁ……そう言ってたね」
もう，この辺から完全にイヤな予感がしてる
「ずっとホテルももったいないし，第一 物騒でしょ？
だから，あなたの家に泊めてあげて欲しいのよ」
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